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カリフォルニア州、トランプ政権支持の自動車メーカーを、州の公用車購入対象から排除。トヨタは×で、ホンダは〇。トランプ政権と同州の自動車排ガス規制対立で自動車メーカーも二分(RIEF)

2019-11-20 22:23:38

Californianew1キャプチャ

 

  自動車の排ガス規制問題を巡って、トランプ大統領と対立が続くカリフォルニア州のニューサム知事は18日夜、同州で使用する公用車について、来年以降、トランプ政権を支持する立場を取る自動車メーカーからは購入しないと表明した。購入を否定されたのはトヨタ、GM、フィアットなど。排ガス問題は自動車メーカを巻き込んだ対立に発展してきた。

 

 (写真は、トランプ政権と真っ向対立のニューサム州知事)

 

 カリフォルニア州はオバマ前政権時代の燃費規制に基づき、1ガロン当たりの走行距離を25年までにメーカー平均で54.5マイルまで延ばすよう義務付けている。同基準は他の13州も踏襲している。ただ、一部の自動車メーカーはトランプ政権に対し、同基準の緩和を要請してきた。

 

 中間選挙も意識してか、トランプ政権は昨年8月に燃費基準の大幅な緩和方針を発表。独自の規制を続けるカリフォルニア州等との対立が表面化。トランプ政権の環境保護局(EPA)は今年9月19日、自動車燃費基準を大幅緩和する「SAFE車両規則」とカリフォルニア州の権利の無効化を発表した。https://rief-jp.org/ct8/94146

 

自動車大国の米国
自動車大国の米国

 

 これに対してカリフォルニア州など23州やワシントンDC、ニューヨーク、ロサンゼルス市など環境規制を重視する自治体は、政府を連邦裁判所に提訴して対抗する形に打って出た。

 

 連邦政府と州政府のはざ間に立たされた形の自動車メーカー。メーカーは複数の規制に対応する生産ラインをとるのはコスト増につながることから、最も厳しい規制に対応した生産をとらざるを得ない。こうしたことからトランプ政権に規制緩和を働きかけたとみられている。だが、自動車メーカーも一枚岩ではない。

 

 フォード、フォルクスワーゲン、BMW、ホンダの4社は、厳しい基準設定を目指すカリフォルニア州との調整で自主基準を制定しようとしてきた。そうした調整作業を、政権側の米司法省から反トラスト法違反の容疑があるとして調べられるなどの動きも表面化している。https://rief-jp.org/ct4/93636

 

 今回、カリフォルニア州が公用車購入からの除外を公表したゼネラル・モーターズ(GM)、フィアット・クライスラー・オートモービル(FCA)、トヨタ自動車、日産自動車等は、トランプ政権寄りとみなされている。

 

 ニューサム知事は声明で、政権を支持する企業を「誤った側についた車メーカー」と非難。州の排ガス基準を順守するホンダや米フォードなど4社からの購入は続けるとした。セダンタイプの車の購入については、メーカーを問わずエンジン車を除外、電気自動車やプラグイン・ハイブリッド車に限定する。ただ一部の公安車両、スポーツ用多目的車(SUV)やトラックは従来通りとする。

 

 同州が2016~18年に購入した公用車のメーカー別金額では、購入対象外を宣告されたGMは5860万㌦(約64億円)、フィアット・クライスラーが5580万㌦、トヨタ1060万㌦、日産900万㌦という。

 

 今回の連邦政府と州政府の対立の深化は、温暖化規制を巡るトランプ政権と、カリフォルニア州を筆頭とする州や自治体の温暖化対策重視派との綱引きの一例だが、もう一つ、連邦と州政府の政策綱引きの側面もある。

 

 カリフォルニア州は2013年に大気浄化法(Clean Air Act)209条に基づき、連邦の排ガス規制適用の除外(Waiver)が認められてきた。同州は1960年代から米国の環境規制の先頭に立ってきた歴史がある。トランプ政権は、こうした同州のWaiver権をはく奪し、連邦政府に先占権(preemption rule)を認めようとしている面もある。

 

https://www.gov.ca.gov/