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梱包材のカネパッケージ(埼玉・入間市)、フィリピンにマングローブ植林の研究所設立。CO2吸収のオフセット事業の推進に寄与(各紙)

2019-11-21 15:41:36

kanem2キャプチャ

 

   梱包剤の製造・販売とともに、カーボンオフセット事業も展開する埼玉・入間市の「カネパッケージ」社は、フィリピンにマングローブなど熱帯・亜熱帯植物の研究所を開設する。オフセット対象となるマングローブ植林を最適な生育条件などで進めるためのデータ・知見を高めることを目指す。東南アジアの自然保護にも貢献することにつながる。

 

 日刊工業新聞が伝えた。研究所はセブ島内の賃貸オフィスに設ける。同社は、2009年から社会貢献事業としてフィリピンでのマングローブ植林活動を展開している。フィリピンに同社の梱包材等の生産拠点があることがきっかけだ。

 

 これまでも、梱包緩衝材の販売に伴い、協力企業に協賛を求める「+O2=マングローブ植林」運動を展開するほか、マングローブ植林で吸収したCO2をカーボンオフセットとして販売する環境ソリューション事業を実施している。

 

 今回の研究所の設立は、CO2の吸収源になるとともに、高波や海面上昇から沿岸部を守る役割、自然の生態系保護等にもつながるマングローブ植林を、より円滑に進め、持続可能な植林につなげることが目的だ。地域に合った植林の仕方、外来種の抑制策の検討、植林後の経過観察などを行うという。

 

研究所の様子
研究所の様子

 

 得られたデータや知見に基づいて、将来は東南アジア各国の政府機関や環境保全団体向けコンサルティング事業に発展させたいとしている。研究所の運営は、売上高の0.1%を植林費用に充て、その資金で研究所の運営も賄う。研究所は計測機器や画像分析処理装置等を備え、12月から本格的に活動を始める。

 

 すでに現地人2人を研究員として雇用した。1人は2009年に現地でマングローブ植林を始めた際、専門家としてフィリピンの大学院から参加した人で、正社員として入社。その後、埼玉大学に留学し博士号を取得している。塩分濃度や浸水がマングローブに及ぼす生化学的ストレス反応を研究してきた。

 

フィリピンでの植林の様子
フィリピンでの植林の様子

 

 同社のマングローブ植林数は1200万本以上に達している。金坂良一社長によると、「苗の着床率は87%と世界でも驚異的な数字となっている。ただ、単に植林して終わりということではない」として、研究所の成果を踏まえ、着床率向上と標準化を進め、その成果とノウハウをさらに他国・地域に提供して広げていきたいとしている。

 

 植林地帯は広大。そこで、人工衛星画像を分析するソフトを開発、植林による森林面積の時系列変化や土壌浸食を止める効果などについても研究対象とする。カーボンオフセットの根拠となるCO2吸収量の算定根拠等も、科学的に検証を続ける。研究成果については、国際機関や各国の政府機関にも広く提供する考えという。

https://www.kanepa.co.jp/jp/work/w_eco/

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00538957?isReadConfirmed=true