HOME |EU理事会と欧州議会、2020年の気候変動対策費、前年比21%増で合意。研究開発、エネルギー、輸送インフラ等に重点配分。21年からの次期中期財政計画では25%に引き上げへ(RIEF) |

EU理事会と欧州議会、2020年の気候変動対策費、前年比21%増で合意。研究開発、エネルギー、輸送インフラ等に重点配分。21年からの次期中期財政計画では25%に引き上げへ(RIEF)

2019-11-22 21:11:34

EEA1キャプチャ

 

 EUの欧州理事会と欧州議会は、2020年のEU予算の21%を気候変動対策に投じることで合意した。現行のEU中期財政計画(2014年~2020年)では平均20%を気候変動対策としているが、それを上回る支出をする。さらに2021年からの中期計画では、気候変動予算の比率を25%に引き上げる方針。

 

 (写真は、デンマークにあるEU環境庁。気候変動担当の人員増加へ)

 

20年の総予算額は1687億ユーロ(コミットメントベース、約20兆2440億円)で19年比1.5%増となった。支出ベースでは15兆3600億ユーロで3.4%増となる。同予算はEUからの離脱を表明している英国の分も含めている。英国の離脱が正式決定すると修正されることになる。

 

 気候変動対策のうち、20年予算での増加分は、気候変動関連のイノベーション・研究・インフラ分野の予算は9億ユーロに増加し、研究開発・イノベーションを強める「ホライゾン2020」プログラムは11億ユーロ増となる。

 

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 さらに、環境と気候保護にフォーカスしたEUのLIFEプログラムや欧州環境庁(EEA)での気候変動対策担当者の人員増にも予算が振り向けられた。

 

 現在のEU議長国フィンランドの財務相Kimmo Tiilikainen氏は「理事会と議会では予算増額分野として、研究開発やエネルギー、輸送インフラ等の気候関連活動にフォーカスすることで合意した」と述べている。

 

 欧州委員会の財政担当委員のGünther Oettinger氏は「次期中期計画(2021年~30年)では、予算額の少なくとも25%は気候対策に配分する。これは未来に向けて必要な正しい道だ」と強調している。

 

 英国問題以外にも課題もある。EU加盟国のうち、ポーランド、ハンガリー、チェコの3カ国は、現在の石炭等に依存した各国のエネルギー事情を、EUが2050年に達成を目指すCO2排出ネットゼロに合致させるために追加的な資金配分を求めている。

 

https://www.consilium.europa.eu/media/41379/st14225-en19.pdf