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9月の国連気候行動サミット、日本政府は安倍首相の演説を要請したが、国連側から断られていたことが判明。「石炭火力推進が支障」「温室ガス削減目標不十分」(各紙)

2019-11-29 11:07:18

UNsummitキャプチャ

 

 各紙の報道によると、今年9月に国連がニューヨークで開催した「気候行動サミット」で、日本政府が安倍晋三首相の演説を要望したが国連側から断られていたという。CO2排出量の多い石炭火力発電の推進方針が支障になったとしている。主催したグテレス国連事務総長は開催に先立ち「美しい演説ではなく具体的な計画」を用意するよう求めていた。

 

 共同通信が配信した。それによると、「国連による首相演説拒否」は、複数の政府関係者が明らかにしたとしている。報道では、国連側は事前に各国の首脳にサミット出席を呼び掛けた。日本は、安倍首相が演説し、6月に議長を務めた20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)の結果を含めて報告したい意向を伝えて協議した。しかし結果的に断られたとしている。

 

 国連側が、日本政府からの「首相演説」の要請を断った理由として、①石炭火力発電の利用を推進している②温室効果ガスの排出削減目標の引き上げや、引き上げに相当する新たな取り組みを発表できないーーなどが指摘されている。ある関係者は「途上国での石炭火力発電建設に資金援助を続けていることも影響したようだ」と語った。

 

 安倍政権は6月、温暖化対策の長期戦略をまとめた。今世紀後半のできるだけ早期に排出を実質ゼロにする目標を掲げたが、具体的な時期は示さなかった。策定過程で石炭火力発電の「長期的な全廃」案が示されたが、産業界出身の有識者委員の反発で「依存度を引き下げる」と後退した。

 

国連サミットではグレタさんも演説
国連サミットではグレタさんも演説

 

 気候行動サミットでは、演説した多くの各国首脳らが、2050年までに排出を実質ゼロにする目標や、再生可能エネルギーの導入拡大、途上国への資金援助増額などを表明した。世界に広がる若者の抗議活動を背景にスウェーデンの少女グレタ・トゥンベリさん(16)も演説し、各国首脳に対して抜本的な対策強化を迫った。

 

 日本からは就任直後の小泉進次郎環境相が出席した。だが演説の機会は与えられず、日本の存在感を全く示せないサミットとなった。

 

 環境NGO、FoEジャパンの深草亜悠美さんは「世界で脱石炭の流れが加速する中、国内の石炭利用と海外支援を続ける日本に国際社会が厳しい目を向けている証左だ。真剣に地球温暖化対策に取り組むのであれば、支援を直ちにやめ、国内でも段階的廃止に向けた工程表を立案するべきだ」と指摘している。

 

https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201911/CK2019112902000143.html