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2018年度の日本の温室効果ガス排出量、前年度比3.6%減で5年連続減少。されど京都議定書の目標比では「依然、未達」。(RIEF)

2019-12-03 16:11:52

GHG1キャプチャ

 

 環境省によると、2018年度の日本の温室効果ガス排出量(速報値)は、12億4400万㌧(CO2換算)で、前年度比3.6%減。14年度以降、5年連続の減少。京都議定書の基準年(1990年)以降で、排出量が最少だった2009年をわずかに下回り、最少となった。環境省は減少要因として、電力の低炭素化に伴うCO2排出量の減少や省エネの進展をあげているが、経済活動の鈍化の影響も大きそうだ。

 

  日本政府はパリ協定で2030年度に2013年度比26.0%、05年度比25.4%の各削減目標を設定している。18年度の排出量は、それらに比べると、13年度比11.8%減、05年度比10.0%減となっている。数字的には順調に減少しているようにみえるが、京都メカニズムによるクレジット等を除外して、京都議定書目標(2012年までに90年比6%削減)に比べると3%減で、28年経ても、いまだに目標を達成できていないことになる。

 

 18年度の排出量を排出源ごとにみると、産業部門の排出量は全部門で最大の4億1100万㌧(割合37.0%)で、前年度比14.4%減とかなり下がった。次に多い運輸部門は2億1300万㌧(同19.8%)で、前年度比3.0%減、業務その他部門は1億9700万㌧(同18.5%)で、11.6%減、家庭部門は1億6600万㌧(同15.6%)で、前年度比20.6%減と大きく下がった。

 

各部門のエネルギー起源CO2排出量の推移
各部門のエネルギー起源CO2排出量の推移

 

 相対的に温暖化割合の低い家庭部門が健闘し、割合のもっとも大きな産業部門も、それなりに削減できたが、自動車を中心とする運輸部門の出遅れ感が目につく格好だ。

 

 エネルギー転換部門の大半を占める製油所・発電所等は9500万㌧で前年度比.85%減。石炭火力を中心とした発電構成があまり変わっていないことを示す。

 

 またCO2削減による総排出量が減少傾向をたどる一方で、代替フロンガスのハイドロフルオロカーボン類(HFCs)は前年度比4.2%増となるなどの新たな問題も浮上している。

 

http://www.env.go.jp/press/107410.html