HOME5. 政策関連 |小泉環境相、COP25の場で、フルオロカーボン回収・再利用の国際イニシアティブ立ち上げ。仏など7カ国が賛同。回収率低迷の実態を無視。石炭火力問題には一切触れず。環境省の振り付け通りか(RIEF) |

小泉環境相、COP25の場で、フルオロカーボン回収・再利用の国際イニシアティブ立ち上げ。仏など7カ国が賛同。回収率低迷の実態を無視。石炭火力問題には一切触れず。環境省の振り付け通りか(RIEF)

2019-12-11 20:58:25

koizumi22キャプチャ

 

 国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)に出席した小泉進次郎環境相は10日、冷蔵庫などの冷媒として使われるHFCなどのフルオロカーボンの回収・再利用イニシアチブの立ち上げを宣言した。同フランス、ニュージーランドなど7カ国が賛同。HFCはオゾン層への影響はないが、温暖化係数が高い問題がある。日本主導の国際イニシアティブというわけだが、環境NGOらは「首を振っている」という。

 

 国際枠組みの立ち上げには、世界銀行、アジア開発銀行などの国際公的金融機関のほか、HFCなどを冷媒として活用するダイキン等の10社も参加した。環境省は、この国際枠組みを通じて、参加国はフロン類の回収手法などの知識の共有などを進めていくという。

 

 イニシアティブ立ち上げの式典で小泉環境相は「このイニシアチブは私の父、小泉純一郎(当時は首相)が2004年に最初に提唱した。日本は2001年に世界で初めてフロン回収・破壊法(現フロン排出抑制法)を制定。今年(回収しないと即座に罰金を科せるように)改正した」等と説明。

 

 日本の方針として、2030年までに70%のフルオロコカーボンの再利用率を目指すと胸を張った。また、「フルオロカーボンについて削減目標を持っているのはわが国を含め70カ国だけ。50年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにするためにはフルオロカーボンを無視するわけにはいかない」とも述べた。

 

 石炭火力発電所対応への国際的な視線が日本に注がれていることを意識したのか、「今はCO2に注目が集まり過ぎ」とも語り、「日本はフロロカーボン対策のリーダー」のように振る舞った。

 

 すべては環境省の振り付けだろう。だが、日本のフロン対策には、すでに環境NGOからダメ出しが出ている。小泉氏が「政策の手柄」のように喧伝したフロン回収・破壊法は、1990 年代に環境団体が粘り強い働きかけをした結果、実ったものだ。しかし、その軸となる回収は十分に機能してこなかった。

 

  これまでのフロン回収率は20~30%で長く推移、ほとんど改善してこなかった。環境NGOの気候ネットワークはその最大の理由は、「経済的インセンティブが働かないから。デポジット制度 のように回収したら費用が支払われるような仕組みが、 フロン排出抑制法には欠けている」と指摘している。

 

 小泉氏が「70%」と国際的にアピールした回収目標は、地球温暖化対策計画に盛り込まれている回収率2020年50%、2030年70%の目標だ。だが、今年公表された直近のフロン回収率は 39%と依然 4 割にも届かない。2030年目標の前の、2020年の50%目標達成も極めて厳しいのが実情だ。

 

 回収が遅れているのは、明らかに産業界の「売りっ放し」の営業戦略と、それを十分に是正指導できない行政の怠慢である。まさに政策の不備だ。環境NGOは「回収が十分にできないなら、使用を禁止するしかない。脱フロン化を急ぐことが最善の道だ」と指摘している。

 

 小泉純一郎氏は、現役時代に、役所の情報を信じ切って、原発推進の舵を取ってきた。しかし、現場を歩いてそうした情報が虚偽だったことに気づき、反原発に転じた。

 

 進次郎氏も役所の振り付け通りに動き、口裏を合わせているばかりではなく、父君の様に、現場を歩いで目を澄まし、違う意見にも謙虚に耳を傾ける姿勢を持たないと、「人気倒れ」に終わってしまいかねない。虚言を見抜く父の視線と勇気を受け継いでいるはずだが。

 

https://www.kikonet.org/wp/wp-content/uploads/2019/12/Fgas_Position-Paper_201912F.pdf

https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20191211-00154474/