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デンマーク、昨年2019年の国内発電総量の50%を風力等の再生可能エネルギー発電で達成。2030年のCO2排出量70%削減目標実現に向けて順調に前進(RIEF)

2020-01-04 15:41:42

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 デンマークの2019年の国内発電量の50%以上を、風力と太陽光の再生可能エネルギー発電が占めたことがわかった。同国が再エネ50%に達したのは初めて。同国は19年12月に新たに気候法を制定、2030年にCO2排出量の70%削減(90年比)、2050年のゼロ(カーボン・ニュートラル)の実現を法的義務にしている。

 

 「再エネ50%実現」は、デンマークの電力網を運営する独立機関のEnerginetが公表した。内訳は、同国の再エネの主流である風力発電が47%以上を供給、太陽光発電を加えて50%に達した。

 

 同国の風力発電は主に北海沖等で大規模ウィンドファームを展開している。2018年の風力発電による供給量は43%だったので、1年間で風力の発電量が4ポイント増加したことになる。

 

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 デンマーク議会は昨年12月初めに、国全体のゼロエミッション実現に向けた法律を制定した。2030年に70%削減、2050年にゼロエミッション化の目標を設定するとともに、国際的な「気候エンゲージメント条項」を盛り込み、国際協定(パリ協定など)に基づいて、途上国の温暖化対策促進の気候ファイナンス等を実施することをうたっている。https://rief-jp.org/ct8/96845

 

 産業部門では、2017年に同国の運輸・エネルギー関連のコングロマリット企業の Maerskが、保有する石油・ガス部門(Maersk Oil)をフランスのTotalへの売却を決めたことで、CO2排出量が大きく削減されたことも大きい。Maersk Oilの売却で、デンマークは国内に化石燃料関連企業がゼロとなっている。https://rief-jp.org/ct4/73398

 

 Energinは、「最初は、再エネ電力は国全体で最大でも風力と太陽光を合わせて、全体の5%くらいならカバーできると想定していた。しかし、風力技術の進展と柔軟な電力網の構築等で、再エネ化を大きく推進できた」と評価している。

 

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 同国の電力網は欧州全体の電力網と連係しており、再エネ電力が不足する場合は、連係するノルウェーからの水力発電を輸入してカバー、余剰電力が生じる場合は、ルウェーのほか、スウェーデン、ドイツ等に売電する形で日々調整している。短期的には、昼間はノルウェーから電気を輸入、夜間に輸出し、長期的には夏に電気を輸入し、冬に輸出する形だ。

 

 今後の課題は、電力供給よりも難しい自動車等の運輸部門の脱炭素化と熱供給からのCO2削減に力を入れるとしている。

 

 再エネ中心のエネルギー政策の成果として、風力発電事業分野の最強のグローバル・プレイヤーを生み出している。1991年委世界で初めて洋上風力発電を事業化したアルステッド社(Ørsted A/S)のほか、DONG Energy、風力発電のタービン製造の最大手ヴェスタスなどが有名だ。

 

 日本の再エネ比率は26%削減(13年比)とされるが、デンマークと同様の90年比では18%削減(KIKOネット調べ)でしかない。政府は洋上風力発電事業の促進のため、2019年4月に「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律(再エネ海域利用法)」を施行、これから洋上風力発電の開発に力を入れるとしている。

 

https://en.energinet.dk/Electricity/DataHub#Documents