HOME |ブラジル・アマゾンの1月の森林破壊、前年比倍増の280万㎢に。衛星データで判明。今年は過去最大の破壊進行の懸念。ボルサナロ政権は森林破壊防止より、さらなる開発計画を推進(RIEF)。 |

ブラジル・アマゾンの1月の森林破壊、前年比倍増の280万㎢に。衛星データで判明。今年は過去最大の破壊進行の懸念。ボルサナロ政権は森林破壊防止より、さらなる開発計画を推進(RIEF)。

2020-02-10 10:30:41

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  ブラジル国立宇宙研究所(INPE)は、違法伐採と開拓のための火災が北部アマゾンの森林破壊が、1月は前年同月比108%増の280㎢超と、衛星データ収集が始まった2015年以降、最大規模に拡大したと公表した。昨年2019年の年間破壊面積は9166㎢と、前年(4946㎢)から85%増の過去最大だった。ジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領が昨年1月に就任後にアマゾン熱帯雨林帯の開発規制を緩和して以来、急速に破壊が進み、今も止まっていないことが明らかになった。

 

 INPEは衛星による森林監視を「DETER」と呼ぶシステムでリアルタイムで展開している。1月の破壊面積は19年が136㎢、18年が183㎢、17年は58㎢。昨年の森林破壊は世界中から非難されたが、ボルソナロ氏は今月5日、アマゾン熱帯雨林帯の先住民の土地を、鉱物採掘や農業、水力発電などの開発プロジェクトに開放する包括的計画を発表、保護より開発の姿勢を強調している。

 

2015年以降の1月の森林破壊の推移
2016年以降の1月の森林破壊の推移

 

 同計画は極右のボルソナロ氏にとって長年の「夢」だという。法案は議会で審議されるが、環境保護活動家やアマゾンの先住民たちは激しく反発している。オーストラリアの森林火災とともに、ブラジル・アマゾンの行方が温暖化問題の加速化に大きな影響を及ぼしそうだ。

 

 ボルソナロ氏は、昨年初めの就任以来、同国の環境省Ibamaが森林伐採を過剰に規制し、法外な罰金を科していると非難して、罰金額を減額したほか、Ibamaに対する予算配分を大幅に減額。アマゾンで違法伐採を監視、摘発するレンジャーの活動を封殺した。

 

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 こうしたボルサナロ政権の一貫したアマゾン開発政策に対して、INPEは衛星データという科学的情報を提供して、アマゾンの病症を確実に内外に知らしめている。しかし、INPEも昨年8月に、当時のINPE代表のRicardo Galvao氏が大統領に罷免されるなどの圧力を受け続けている。

 

 サンパウロ大学の気候科学者、 Carlos Nobre氏は「1月の森林破壊データの増大は、昨年の森林破壊を増大させた要因が変わっておらず、むしろ拡大していることを示す。アマゾンでの違法伐採、放火等を防止する効果的で総合的な行動が必要だ」と警告している。昨年の乾季(7月~9月)には毎月、1000㎢超の大規模火災が、燃え盛っている。

http://terrabrasilis.dpi.inpe.br/en/home-page/

https://www.bbc.com/news/world-latin-america-51425408