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韓国、国内原発依存を抑える一方、輸出は強化(WSJ) 日本の原発政策をコピー?

2013-10-15 17:54:32

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koreiannukesogo1_110401韓国は原発安全性をめぐるスキャンダルを受けて、外国での原子炉輸出に力を入れる一方で、国内での原発建設を抑制しようとしている。

 

 韓国政府は先週末、原発計画を抑制したり原発への依存から完全に脱却するとしているいくつかの国と同様に、原発への依存度を今後20年間でほぼ半減させる可能性があることを明らかにした。

 

 同国通商産業エネルギー省のShin Yong-minエネルギー政策局長は「それを国民が望むなら、政府はそうする」とし、「政府は合理的な水準まで原子力への依存を減らすことを試みる」と語った。

 

 学界、産業界、市民の代表らから成る官民合同の諮問委員会は13日、これまで5カ月にわたる議論の結論として、政府が今年12月にまとめる新長期エネルギー計画では原発の利用を大幅に抑えることを盛り込むべきだと答申した。

 

 

 答申は、2035年までの原発依存度を22―29%とすべきだとしている。政府のこれまでの行程表では41%とされている。

 

 これは、増大する電力需要に原発依存度を高めることで対応してきた韓国にとって大きな方向転換となる。韓国にとっては化石燃料の使用を増やす以外には選択肢が限られていることから、答申通りにすることは、温室効果ガスが増えることを言外に意味している。

 

 アジア開発銀行は14日に公表した報告で、世界的に二酸化炭素(CO2)の削減努力が続けられているものの、アジア太平洋地域のCO2排出は35年まで年に2%ずつ増える見通しであることを明らかにした。

 

 アジア第4の経済国である韓国では現在、23基の商業用原子炉が稼働して、総発電量の約3分の1を賄っている。この比率は、24年までにさらに11基が建設されることから上昇することになっている。

 

 ドイツは、11年の福島原発事故と国内での反原発運動を受けて、17基のうち8基を閉鎖、残りの運転も22年までに停止する計画だ。スイスとスペインは新規の原発建設を禁じ、他の国でも原発依存を減らすべきかどうか議論している。

 

 環境問題を扱うワールドウォッチ研究所のディレクター、アレグザンダー・オックス氏は「チェルノブイリや福島、スリーマイル島など多くの原発事故を経験したあとも、問題は一定の期間をおいて起きている」と述べるとともに、「一部の国が監視を厳しくしているにもかかわらず、ほとんど世界中で原発反対の機運は高まっている」と指摘した。

 韓国では先週、原発の安全性をめぐる同国最大のスキャンダルに関連して、当局者ら100人が起訴された。

 

 韓国の南365キロメートルにある密陽市では住民や市民グループが何年にもわたって、韓国電力公社の高圧送電塔の建設に反対している。これは近くの新原発からの電力を送るためのものだ。

 

 10月初め、工事を再開しようとする作業員と住民が小競り合いをする中、韓国電力公社の趙煥益社長は「韓国が大規模電力不足をまた経験したくないなら、建設を一刻も遅らせることはできない」と強調した。同国では今年の夏の需要期のピーク時に電力不足に陥った。

 

 国内での慎重な見方にもかかわらず、同国政府は原発輸出に依然意欲を見せている。朴槿恵大統領は今年2月の就任以来、減速する同国経済支援の一環として、原発プラントや設備の輸出を支持すると約束している。

 

 韓国はここ数年、利益の多い原発輸出で日本、フランス、ロシアなどの強力なライバルと争っている。09年12月には、アラブ首長国連邦(UAE)に原子炉4基を200億ドル(1兆9700億円)で売り込むことに成功。韓国として最初で、またこれまでで唯一の原子炉輸出成約となった。エネルギー省は13日、国会への報告で、当局者は現在、フィンランド、ベトナム、サウジアラビアなど数カ国への原子炉輸出交渉をしていることを明らかにした。

 

 斗山重工業のSeo Kang-chul氏は韓国・大邱で開催中の世界エネルギー会議で、「ドイツなど一部の国は脱原発を発表しているが、韓国がその輸出市場を見つけるのはあまり難しくないだろう」と述べた。その上で、「韓国で唯一の原子力発電システムのメーカーである斗山は、火力発電に比べてエネルギー生産コストが低い原子炉の海外販売で利益を上げ続けるだろう」との見通しを示した。

 東京電力の相澤善吾副社長は同会議で、他のエネルギー源に比べ、コスト競争力や、多様化の必要性からみて、日本では今のところ全ての原発の運転が停止しているが原発を放棄すべきでないと主張した。同氏は、いかなる国の完全な脱原発も化石燃料への依存を増やすだけで、望ましくない上、ほかにも多くの問題が出てくると語った。

 

http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702303831204579136144220784258.html?mod=djem_Japandaily_t