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中国で原発の使用済燃料再処理施設建設に地元住民が強い抗議活動。市当局は準備を一時中断。国有CNNCと仏AREVAの共同事業(RIEF)

2016-08-10 21:27:14

Chinatianmannukeキャプチャ

 

  中国東部の江蘇省(Jiangsu)連雲港(Lianyungang)市で、国有企業の中国核工業集団(CNNC)がフランスのアレバと共同で核廃棄物処理施設を建設する計画が地元住民の不安を高めている。ここ数日、地元住民は大規模な反対の抗議行動を連日にわたって展開、市当局は、混乱回避のため、計画準備の一時停止を表明した。

 東京電力福島発電所事故以来、日本を含む欧米の原発は安全性コストが上昇、新規建設や再稼働が滞っている。これに対して、元々、建設コストの安い中国では、欧米の技術を導入した原発の新規建設が活発に行われている。しかし原発稼働が進めば進むほど、使用済燃料の処理が増えるのは、中国でも同じ。

 このためCNNCはアレバと共同で、再処理施設を検討中だ。港湾都市の連雲港から20マイル離れた沿岸部のTianwanにはすでに2基の原発が稼働しているほか、2基が追加で建設中、さらに2基の建設が承認されているという。

 これらの原発から今後生じる膨大な使用済燃料の再処理については、原発周辺地域で再処理する計画が有力だ。施設も同市が最有力候補との見方が広がり、住民たちの反対運動につながった。

 Tianwan原発周辺住民を対象とした2010年の調査では、対象者(1616人)の大半の83.5%が再処理について懸念を表明していた。特に人為的なミスへの不安が高いという。中国の住民の間で福島事故の以前から、原発による健康影響への懸念が広がっていることを示すデータだ。

 地元住民による抗議デモは、数千人の規模に膨らみ、市庁舎の前で、健康などへの悪影響の懸念から再処理施設の建設計画を中止するよう要求した。その際、抗議行動を阻止しようとした警察と衝突も起きたという。

 

 抗議グループは「核燃料再処理施設建設反対」と大書したプラカードを掲げ、「他の原発の廃棄物もわが町に集められるのは極めて危険」と指摘している。抗議行動参加者たちの多くは中年層で、「核廃棄物反対、街を守れ」とシュプレヒコールを繰り返した。

 

 ただ、中国政府は温暖化対策を推進するため、国内の石炭火力の減少分を、再エネ発電と原発稼働でカバーする計画を打ち出しており、新規原発建設とセットの形で、再処理施設の建設が必須となっている。