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マレーシア政府、日本や米国などからの廃プラ資源ごみの不正輸入450㌧分を「返送」宣言、腐敗したり、有害物質含有など。先進国のプラスチック対策のお粗末さを露呈(RIEF)

2019-05-30 11:35:17

Maleyshia1キャプチャ

 

 マレーシア政府は、日本など7カ国から資源ごみとして輸入した廃プラスチックなど450㌧が、腐敗の進行や有害物質の含有等で、リサイクル不能として、今後、当該国に送り返すと公表した。これらの輸入廃プラは、ラベルを偽装したり、不正輸出されたものも多いという。先進国のご都合主義を象徴する事例だ。

 

  (写真は、汚染がひどい輸入廃プラを告発するマレーシア環境相のヨー・ビー・イン氏。真ん中)

 

 同国政府は、現在、さらに他の輸入ゴミも調査しており、疑惑の廃プラ総量は3000㌧にも及ぶという。違法な廃プラごみが見つかったのはクアラルンプール郊外のクラン港。リサイクルできない汚れた家庭ごみなどが無許可で輸入されていた。輸入ゴミの元は、日本、米国、英国、中国、オーストラリアなどで、「リサイクル業者」がマレーシアの仲介業者を通じて持ち込んだものという。

 

 ヨー・ビーイン(Yeo Bee Yin)環境相は28日に会見、「有害物質を含む不正なごみの持ち込みでマレーシアの空気や川が汚染され、健康被害の心配もある。先進国は自らの廃プラスチックの管理体制を見直してもらいたい」と指摘した。同相はごみを持ち込んだ仲介業者に対して、ごみを各国に送り返すよう指示した。返送、受け取りに応じない場合、最大禁錮2年に処せられる可能性がある。

 

 廃プラごみは、中国が17年末にリサイクル用プラスチックの輸入を禁止した。その結果、先進国の輸出業者は、輸出先をベトナム、マレーシア、タイ、などの東南アジアに転じたが、各国の受け入れ余力に限りがあることや、東南アジア各国も規制を強化していることから、ゴミがあふれる状況にある。

 

 最近でも、フィリピンでカナダから輸入された2000㌧以上の「資源ごみ」がマニラ近郊の港に5年も放置されていたことが判明。中身を調べたところ、使用済みの大人用おむつや古紙などが混在、ドゥテルテ大統領がカナダ駐在大使を帰国させるなど、両国関係を悪化させる事態に陥った。https://rief-jp.org/ct4/89913

 

 環境NGOなどの調査によると、廃プラごみを東南アジアにもっとも多く輸出している国の一つが日本。今回、マレーシアで見つかった不法輸入ゴミで確認された10のコンテナのうち、少なくとも3つは日本から輸入したものという。

 

 来月から大阪でG20会議が開かれ、廃プラ問題が重要課題の一つになる予定だ。日本政府は、廃プラリサイクル等でリーダーシップを発揮したい考えだが、自らの廃プラ処理の足元がこうした状況だと、説得力は欠けると言わざるを得ない。対マレーシアにも政治がリーダーシップをとって、不正ゴミの早急な回収と、同国への謝罪を行うべきだろう。