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再稼働したばかりの関電高浜4号機 機器の異常を知らせる警報で、原子炉稼働停止。営業運転大幅遅れに(各紙)

2016-03-01 02:11:23

kandenキャプチャ

 

 関西電力は29日、再稼働したばかりの高浜原子力発電所4号機(福井県)で、発電機と変圧器の故障を示す警報が鳴り、原子炉を停止したと発表した。

 

 関電によると、原子炉の冷却は維持されていることから、周辺の放射線量への漏洩などの問題は起きていないという。関電はいったん再稼働作業を中断し、原因を究明後に再び原子炉の起動操作をやり直すとしている。

 

 このトラブルの解明のため、当初、3月下旬を予定していた営業運転の時期は4月に遅れる見込み。高浜4号機では2月20日に微量の放射性物質を含む水が内部で漏れるトラブルが発生している。原発賛否両論が続く中で、九州電力川内原発に次ぐ再稼働認可を得たにもかかわらず、運転する関電の対応力が十分でなかったことを、図らずも示す形となった。

 

 大阪市内の関電本社で記者会見した木島和夫・原子燃料サイクル部長は「原因を調査中」としたうえで、東電福島第一原発事故後の2011年7月以来、4年7カ月にわたって停止が続いたことが機器等に影響した可能性もあると指摘している。

 

 高浜4号機は1985年稼働の加圧水型の軽水炉。関電によると、送電網に電気を送る過程で、電流の異常を検知した。変圧器の故障の可能性があるほか、異常の検知そのものが誤りだったことも考えられると説明している。仮に長期間停止したことで機器に狂いが生じているとすると、「危険な原発」ということになる。

 

 高浜4号機は今月26日に再稼働し、29日午後2時に発電と送電を始める予定だった。作業開始直後に警報が鳴って発電機が自動停止した。原子炉に核分裂反応を抑える制御棒48本が入り、稼働を自動で止めた。

 

  今後、同じ26日に営業運転した高浜3号機でも同じ原因による故障が発生する可能性もある。このため、3号機についても検証を加える方針という。

 

 関電の八木誠社長は26日の記者会見で、高浜3、4号機の営業運転開始を前提に「5月1日から電気料金を引き下げる」と明言した。その狙いは、4月から始まる電力小売りの全面自由化を機に、再稼働で浮いた費用を値下げ原資に充て、顧客の囲い込みを狙う戦略だったという。だが、再稼働が大幅に遅れれば、電気料金引き下げの時期もずれる可能性がある。

 

 関電の原発が起こしたこれまでの主なトラブルは、変圧器の保護装置が見つかったことや、1999年には西京都変電所の変圧器の保護装置にトラブルが発生し、原子炉が自動停止した。96年には大飯原発4号機で運転中に今回と同じ主変圧器の故障を示す警報があり、原子炉やタービン、発電機が自動停止するトラブルに見舞われた。