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三菱UFJモルガン・スタンレー証券、三菱総研など、太陽光発電の出力制限を評価できる需給シュミレーター開発。ファンドへの組み込みも提案。「開発中断メガソーラー」の稼働促進へ(RIEF)

2016-08-08 10:50:30

solar2キャプチャ

 

 三菱UFJモルガン・スタンレー証券は三菱総合研究所などとともに、太陽光発電事業の事業化の課題となっている系統線への接続可能量を超過した電力の出力抑制問題を解消する事業化やファンド組成事業に乗り出す。

 

 事業には2社のほか、関電工も加わる。再生可能エネルギー発電を推進する固定価格買い取り制度(FIT)では、再エネ電力は既存の電力会社が一定の買い取り価格で買い取る義務が基本。だが、2015年1月の再エネ特別措置法施行規則の改正で、東京電力、中部電力、関西電力以外の電力会社管内では、接続可能量を超過した場合は、無制限・無補償の出力制御を受けることとなった。

 

 これは2014年に起きた「九電ショック」の影響による。当時、九州地域の太陽光発電事業が増加し、FITに基づいて九州電力に接続申請を集中して申し込んだ。このため同電力は周波数の変動リスクが生じるとして、受付を保留する事態が起きた。

 

 この「九電ショック」を受けて、経済産業省は施行規則を改正、既存電力会社の接続可能量を超える場合は、無制限・無補償の出力制御ができるように制度を変更した。

 

 この結果、既存電力は事実上、無制限の買い取り義務から解放された。だが、再エネ事業者は、発電電力が出力抑制の対象になるかどうかが不明で、長期的な売電量の予測が立たず採算性の検証が困難になるところが続出。金融機関からの融資も受けにくいケースも少なくないという。

 

 三菱UFJモルガン証券らは、この課題解決に向け、開発される太陽光発電事業が、出力抑制の対象になる可能性があるかどうかを、各電力エリアの電源構成を模擬した需給シミュレータを開発した。これにより、個々の太陽光発電事業の出力抑制量を定量的に予測し、売電可能量を事前に評価できるという。

 

 また、三菱UFJモルガン証券と三菱総研は今年1月にメガソーラーファンドを立ち上げており、今回対象とする出力抑制無制限と評価できる太陽光発電事業案件についても、上述のモデルを用いて評価を行い、ファンドへの組み込みを提案していく。

 

 FIT対象の太陽光発電は、発電許可を得ながら、建設が遅れる問題が指摘されてきたが、建設が遅れる要因の一つに、この出力抑制問題があることはあまり一般には知られていない。今回の3社の新たな事業サービスの展開で、技術面、資金面などの事情にで開発が停滞しているメガソーラーサイトが動き出す期待がある。

 

 3社は、FIT制度の再三にわたる変更や価格下落で、採算面での課題を抱える太陽光発電事業の経済的価値を安定化させ、投資対象としての価値を高めるとともに、長期的に地域で愛される発電事業として運営できるよう貢献したい、としている。

http://www.sc.mufg.jp/company/news/000012233.pdf