英ロンドン証券取引所グループ(LSEG)がパリを本拠とするESGの国別格付企業である「Beyond Ratings」を買収した。LSEGはESGデータビジネスを強化し、買収したBeyondの持続可能性クライテリアを活用して各国政府のESG格付を業務に取り入れていく方針だ。
買収価格は公表されていない。買収の対象はBeyondが提供する既存のESGインデックス、データ・ソリューション、分析の提供等を含め、すべての事業をLSEGの情報サービスビジネスに移管する。Beyondoの共同創設者のRodolphe Bocquet (CEO) と Sylvain Château (COO)は買収後も引き続き、当該職を継続する。
LSEGは今回の買収によって、現在グループ傘下で、グループのフラグシップとして提供しているFTSE World Government Bond Index (WGBI)と、 The Yield Bookの fixed income 分析能力の向上が期待できるとしている。
Beyondは2014年の設立、スタッフ22人と小所帯だが、 国だけでなく、自治体政府や国際公的金融機関、国別公的機関等の格付業務等を実施している。最近は、パリ協定に基づく気候変動目標を備えた各国政府の国債ポートフォリオへの適合を評価するツールを開発している。European Securities and Markets Authority (ESMA)の登録を得ている。
気候変動の進展で、格付会社は企業評価、企業価値評価の中に、気候変動への考慮を入れて統合的に評価する必要性に迫られている。特に欧州ではESMAとともに欧州委員会が積極的に格付機関のESG取り組みを奨励している。
LSEGはBeyond を傘下に置くことで、各国の国別レーティングのほか、国債や地方債等の格付の際にも、温暖化対策の有無と対策の中身を精査して評価につなげる方針だ。LSEGは「今回の買収は、LSEGの情報サービスビジネスへの投資の一環」と位置付けている。