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資料:改正地球温暖化対策推進法(2021年5月26日成立)

2021-05-29 22:16:59

kokkaiキャプチャ

 

 5月26日、参院本会議で改正地球温暖化対策推進法が成立した。改正法はパリ協定の目標達成に向けて、2050年までの脱炭素社会の実現を目指すことを明記した。そのために、再生可能エネルギーを活用した地域での脱炭素化促進事業等を推進するための計画・認定制度の創設等を盛り込んだ。また企業の脱炭素経営を促進するため、企業の排出量情報のデジタル化等も進める。

 

 法律の成立を受け、政府は2022年4月の施行を目指すとしている。都道府県や政令市などに対して、再エネの導入目標を設定し開示することを義務づけるほか、市町村には再エネ導入目標の開示の努力義務を課す。自然エネルギー関連の再エネ事業促進のため、自然公園法や温泉法、廃棄物処理法、農地法、森林法、河川法等の関係手続の簡易化等も取り入れ、事業計画の立案段階での環境影響評価法の手続省略等も可能になる。

 

 菅首相が宣言した「2050年ネットゼロ」を法的に担保するものとなる。ただ、法律に盛り込んだ自治体ベースでの対策推進だけで、目標達成ができるかどうかの担保は法律では示されていない。英国等の気候変動法の場合、5年ごとに削減目標を定め、それに沿って毎年の国の気候変動対策の予算支出も国民に見える形で示す厳密なプロセスをとっている。進捗状況は、政府から独立した委員会がチェックする。

 

 気候変動に対する国および国民の責任を明確にするため、予算と排出量削減の両方の「カーボン・バジェット」を確認しながらネットゼロに向かうわけだ。また、EUでは気候変動対策を進める一方で、そうした対策が他の環境分野に負荷を強いたりしないよう、「Do No Significant Harm(DNSH原則)」を取り入れている。今回の法律は再エネ促進で環境アセス等の簡易化を打ち出したが、すでに太陽光発電設備の無秩序な設置で、里山の減少・影響が指摘されている。

 

 法律文は下の「詳しく見る」を参照。

 

 

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