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提言:学校教育改革の進め方 ~ 知識伝達型の一斉授業から、子どもの主体性・ 独創性を引き出す小人数のグループ学習へ ~(特定非営利活動法人 政策形成推進会議)

2026-06-19 00:59:54

education001 2026-06-19 005017

 

                      (問題意識

 

 時代が工業社会から知識社会へと大きく転換し、既成の知識の役割が著しく低下するとともに、知的作業の多くがコンピュータに代替されるようになり、知識伝達型の一斉授業では新しい時代に対応できる人材を育成できなくなった。併せて、世界の先頭集団の一員となったわが国は、もはや参考にできる先例がなくなり、自らが進む道は自力で切り拓かざるを得なくなった。このため、課題探求・解決策模索型、価値創造型、感性育成型の学びの必要性が高まった。

 

 そのような時代の変化の中で文科省が掲げる「主体的・対話的で深い学び」は、まさに時宜にかなった教育理念であり、それに異を唱える人はいないはずである。しかし、なぜか文科省は、それを具現化するための教育手法を明らかにしようとせず、相変わらず知識伝達型の一斉授業が続けられている。中央教育審議会も、わが国の学校教育が抱えている課題を解決するため、自らが掲げる素晴らしい教育理念を実現するためにはどうすればよいか、真剣に議論しているようには見受けられない。

 

 そのため、せっかくの教育理念が実を結ばないまま、いたずらに時間だけが浪費されている。私たちは、いま重大な歴史の岐路に立っていることを認識しなければならない。適切な方策を講じなければ、この国が衰退の一途を辿ることは必至である。早急に有効な手を打つ必要がある。

 

 時代の変化を感知した欧米諸国は、いち早く少人数のグループ学習に切り換えており、これまで取り組みが遅れていたアジアの国々も、近年急速にグループ学習の導入を進めている。相変わらず一斉授業を行っているのは、わが国のほかに数カ国しかないのが世界の現状である。しかし国民は、そのような状況を全く知らされておらず、ほとんどの国民は知る由もないというのが実情である。


 一斉授業は知識を伝達するには効率的であるが、子どもは受け身の立場に置かれるため、「対話」を重ねながら「主体的」に学ぶ力を身につけることができない。また、授業から取り残される子どもが出てくることは避けられず、それがいじめの深刻化や不登校の子どもの増加につながっている。


 これからの知識社会で求められる能力は、コンピュータには代替できず、人間にしかできない自ら課題を発見し、解決策を模索して新しいモノやコトを創り出す力である。それを身につけるには、授業の主体は教師ではなく子どもであることを確認したうえで、仲間とともに自ら考え、試行する学びの実践を通じて着実に実力がつくようにする必要がある。そのためには、一斉授業をやめて世界の大勢となっている小人数のグループ学習に切り替え、子どもたちが仲間と力を合わせて課題を解決する、そして教師はそれを傍らからサポートする役回りに徹することが大事である。

 

 教育の現場ではすでにさまざまな取組みが行われている。中でも「学びの共同体」は、全国3千の小中高校が参加する示唆に富んだ新たな教育の試みであり、学力の向上、課外活動の活発化、いじめや不登校の減少など目に見える成果を上げている。しかもその理念と手法の試みを真正面から批判する論説は、ほとんど見受けられない。しかし残念ながら、さまざまな新しい教育の試みは、学校教育関係者の一部が知るのみで、広く国民に共有されているとは言えない。

 

 そもそも、わが国の行政は、制度の改革や創設に際してエビデンスに基づく検討をおろそかにする傾向がある。文科省は、手始めに世界の学校教育の実情と、全国各地で行われている学校教育改革の試みを国民に明らかにすべきである。学校教育は、すべての国民に直接関わる人間形成にとって重要事項であるから、事実関係に対する共通認識を得たうえで、国民的な議論を踏まえて政策決定を行うことが求められる。とりわけ一斉授業からグループ学習への切り替えに対して、なぜか重い腰を動かそうとしない文科省と中央教育審議会の腰を持ち上げ、わが国の学校教育を望ましい方向へと導くためには、わが国の学校教育が抱える問題点に対する国民の認識を深め、改革を急ぐことの必要性に対する世論を喚起する必要がある。

 

 文科省と中央教育審議会は、自らが掲げる教育理念と目標を実現するためにはどうすればよいか、改めてその具現化手法を真剣に考えるべきである。そしてその際には、「学びの共同体」の試みをはじめ全国の学校現場の取組みを積極的に取り入れ、日本の未来を担う子どもたちのための素晴らしい学校教育の実現をめざしてほしいと切に願うものである。

 

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