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三井住友銀など 東電融資を無担保に 経営再建を後押し(各紙) 金融機関の財務に懸念も

2014-04-04 17:15:03

mitsuisumitomobank無題
mitsuisumitomobank無題各紙の報道によると、三井住友銀行と三菱UFJフィナンシャル・グループは、4月末に借換期限を迎える東京電力向け融資に担保をつけない方向という。国からの賠償資金供与などの拡大で、東電の経営の安定性が増したというのが理由。ただ、東電は賠償だけでなく福島原発の廃炉コストなどが増大するのは確実で、“潜在的な不良債権”となる可能性がある債権に担保をつけないと、金融機関自身の信用度が低下する可能性もある。


東電は東日本大震災と福島原発事故の影響で、それまでの社債による資金調達の道を閉ざされ、金融機関からの融資に頼った資金運用を行ってきた。一方の金融機関は、福島原発事故対策の負担が大きいことから、東電向け債権については担保を取る形で応じてきた。しかし、融資に担保をつけると、担保対象の不動産屋設備類についての資産処分がしにくくなる。このため東電は、金融機関に対して、無担保融資への切り替えを要請してきた。

 

東電と金融機関の交渉は、既存融資のうち、今月末に返済期限が来る約1040億円の扱いをめぐって調整が進められてきた。このうち、三井住友と三菱UFJグループの三菱東京UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行の3行でほぼ半分の550億円程度を融資している。mitsubishibankimages

 

交渉は表面的には民間ベースだが、国が東電に対する支援をどこまで、どれくらい継続するかが重要な要素となる。また金融機関の債権をチェックする金融庁が、東電向け無担保融資を”不良債権”とみなすのかどうかもポイントだ。政府・金融庁の判断・関与は表面的には示されていない。ただ、金融機関側が東電の要請を受け入れる方向で調整が進んでいるとすると、少なくも金融庁の了解があると考えることができる。

 




報道によると、無担保化する融資についても、条件として、突発的な事態が起きた場合には再び担保付き融資に切り替える、との財務特約条項が付けられるという。ただ、実際に突発的事態が起きた際に、対象担保を確保できるかどうかは不明だ。また廃炉コストなどの恒常的な上昇が続く場合、経常費用が増大して、資金繰り難に陥る可能性も想定できる。そうした場合に、特約条項が機能するかどうかは、不明。

 

今回の無担保化で主要金融機関が合意する場合、今後返済期限が来る融資についても、同様の取り扱いになるとみられる。また政府や東電は、メガバンク以外の生命保険会社や地方銀行など他の金融機関も同様の扱いでの融資継続を期待しているようだ。ただ、金融機関によっては、無担保化で金融機関自身の財務内容に懸念を及ぼすことを嫌って、融資を打ち切るところも出そうだ。そうなると、メガバンク等が肩代わり融資をせざるを得なくなる。東電への民間金融機関の融資総額は約4兆円。このうち担保付き融資は1兆4千億円という。