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住友商事の「スミフル・シンガポール」合弁株全額売却は、CSR責任放棄の「逃げ得」狙い(?) 環境NGOらが批判の共同声明(RIEF)

2019-06-24 15:45:09

sumisho1キャプチャ

 

   住友商事は、フィリピン・ミンダナオ島でバナナ事業をめぐる労働争議が起きている「スミフル・フィリピン」の親会社にあたる「スミフル・シンガポール」社の全持分49%を、合弁パートナー先に売却することで合意したと発表した。これに対して環境NGOらは「株式売却完了前に、人権侵害等の被害の清算と問題解決を図るべき」と指摘する共同声明を公表した。

 

 (写真は、スミフル・フィリピンのバナナ工場での出荷作業の様子。合弁解消後も、バナナは日本市場に輸出される)

 

 住友商事は、2003年に英Thornton Venture Limited(TVL)と合弁で、シンガポールにスミフル・シンガポール社(Sumifuru Singapore)を設立、アジア各地での果物栽培等の事業を展開してきた。住友商事側は系列の持ち株会社Summit Global Management II BV(オランダ) が49%を出資してきた。今回、その持分を今年度上半期中に全額TVLに売却するという。

 

 同スミフルの活動のうち、フィリピン・ミンダナオ島で日本向けのバナナを栽培するスミフル・フィリピン社では、農園・梱包工場で働く非正規労働者が請負事業者の派遣の形で長期間雇用されており、一種の「偽装請負」の格好になっているとの批判が続いていた。現地労働者の、正規雇用や団体交渉権等を求める行動が11年にもわたって続いている。http://rief-jp.org/ct11/87617

 

日本の消費者の支援を求めるミンダナオの労働者たち
日本の消費者の支援を求めるミンダナオの労働者たち

 

 こうしたことから、現地労働者や日本の環境NGOらが、親会社にあたる住商に対して、適切な対応をするよう要請していきた。住商は、グローバルコンパクトにも署名しており、「企業の責任ある投資が求められる」と指摘されてきた。

 

 しかし、今回の持ち株売却で住商は、労働争議の続くスミフル・フィリピンを含めたスミフルの活動から離れることになる。この点に対して、環境NGOらは「住友商事が株主としての権利と責任を有する間、つまり、株式の売却完了前に、国連グローバルコンパクト署名企業として、グループ企業がフィリピンで行ってきた人権侵害による被害を清算し、問題解決を図った上で完全撤退することを強く求める」と指摘している。

 

 要請では、昨年10 月にストライキに参加し、現在も事実上解雇状態にある労働者らを速やかにスミフル・フィリピンの正規社員として復職させたうえで、労働環境の改善に向けた団体交渉に臨むことを求めている。スミフル側の懲戒解雇に対しては、フィリピンの国家労使関係委員会(NLRC)が調査と仲裁をしており、今年1 月にはスト参加を事由とした懲戒解雇は無効との報告書を公表している。

 

 環境NGOらは、「住商はこれまで何年かも利益を吸い上げながら、問題が表面化し、国内外で事態の異常さが報道され始めるや否や、労働者への暴力行為を含む人権侵害を放置したまま、株式を売却し、過分牛としての責任を逃れようとしている、これは無責任以外の何物でもない」と批判している。

 

 「スミフル」の名は、旧「住商フルーツ」から引き継いでいる。

 

tps://www.sumitomocorp.com/ja/jp/news/release/2019/group/12020

http://www.foejapan.org/

http://nangoc.org/information/619.php