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英ウィリアム王子主催の環境賞「アースショット賞」、第一回受賞5団体を選出。森林保全・回復のコスタリカ、サンゴ礁回復のバハマ企業、インド企業等。賞金は各1億6000万円(RIEF)

2021-10-24 16:43:06

Earthshotprize002キャプチャ

 

 英王室のウィリアム王子が設立した環境賞「アースショット賞(Earthshot Prize)」の第1回受賞者に、コスタリカ、イタリアのミラノ市、バハマの団体、インドの企業、タイとドイツとイタリアの合同チームの5団体が選ばれた。同賞は気候変動問題に関するグローバルな市民・企業等の取り組みを顕彰するもので、受賞者には賞金各100万ポンド(約1億6000万円)が授与された。

 

 ウィリアム王子創設の環境賞は、昨年、自らの慈善団体の王立財団(ロイヤルファウンデーション)の活動として公表された。今後、2030年までに気候対策に取り組む市民たちをグローバルに選択し、表彰することを目的とする。

 「アースショット」の名前は、ジョンFケネディ米大統領が米国の月着陸計画を打ち出す際、有名なムーンショットを行い1960年代の米国の技術開発に大きな影響を及ぼしたことにちなんで、2030年までの10年間にわたって、地球環境を回復させるための取り組みを5分野に分けて顕彰し、技術と熱意の普及を目指す。

環境省を主催したウィリアム王子とキャサリン妃
環境賞を主催したウィリアム王子とキャサリン妃

 

 王子は表彰式でのビデオ演説で、「われわれは人類史上、もっとも重大な時代を生きている。今後10年の間に、我々が選ぶ、あるいは選ばない行動が、それ以降の地球の運命を決定するだろう」と指摘、同賞の意義を強調した。また、今月末に英グラスゴーで開く国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に向けて、同賞が気候変動対策を促進する一助となることを希望すると述べた。

 今回の受賞者は、「自然の保護と回復」部門では、市民が率先する形で国上げた自然保全・生物多様性の保護、回復に取り組んでいるコスタリカ共和国を、「大気の浄化」部門では、インド企業のTakachar社をそれぞれ選んだ。Takachar社は農業廃棄物を肥料に転換するポータブルな小型機械を開発した。

 「海を蘇らせる」部門では、カリブ海のバハマでサンゴ礁の養殖事業を陸上で展開する「Coral Vita」社。「廃棄物ゼロの世界」部門では、イタリアのミラノ市。同市は2030年までに食品廃棄物を半分にすることを目的に「食品廃棄物ハブ」を設立、スーパーや企業の食堂から回収した食品を、最貧な市民に配布する活動を展開している。「気候変動を修復」部門では、ドイツとイタリアの企業がタイで連携して水素エネルギーの供給を展開するEnapter社を選んだ。

 ウィリアム王子は、世界の富豪たちが、宇宙ツーリズム競争に興じている状況に対して、英国放送協会(BBC)のインタビューで「世界で最も偉大な頭脳と知性は、地球から移住するための別の星を見つける試みではなく、この惑星を修復する試みに取り組む必要がある」と批判した。

 エリザベス女王も、気候変動に対応する世界の政治リーダーたちを念頭に、「口だけで何もしない」と不満をこぼしたことを報じられている。

 ロンドンのアレキサンドリア宮殿で開いた受賞式には、主催者のウィリアム王子、キャサリン妃を筆頭に、俳優のエマ・ワトソン、エマ・トンプソン、デビッド・オイェロウ、英博物学者デービッド・アッテンボローさんらが出席、COP26を前にして、初の受賞者を祝福した。

https://earthshotprize.org/ja/