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オフィスビルからの有機性廃棄物等を燃料に。東京・副都心の新宿センタービルで実証実験開始。バイオマスから「バイオ石炭」を生成、コジェネや石炭火力の脱炭素化に活用目指す(RIEF)

2021-12-21 16:56:38

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 オフィスビルから排出される有機性廃棄物を燃料化する実証実験が、東京・新宿副都心の新宿センタービルで始まった。オフィス活動で発生する可燃性廃棄物や未活用のバイオマスなどからメタンガスや高品質固形燃料を生成する仕組みを使い、固形燃料「バイオ石炭」を生成、ビルのコージェネレーションシステムの燃料等として活用する。同ビルを所有する東京建物、明治安田生命保険、日本プライムリアルティ投資法人(JPR)のほか、入居企業である損保ホールディングス等が参加している。

 

 廃棄物の循環利用に活用するのは、ISOPシステム(Integrated Subcritical-water-treatment-technology for Organic-waste Power-generation System)。都市などで発生する可燃性廃棄物や未活用のバイオマスなどからメタンガスや高品質固形燃料を生成する仕組みで、損保ジャパンが出資しているサステイナブルエネルギー開発(仙台市)の技術を使って実証実験に応用する。

 

 ISOPシステムでは亜臨界水処理を活用する。同システムは有機化合物を溶解したり、加水分解したりするなどの亜臨界水の性質を生かし、廃棄物を焼却せず、有機物を低分子化し、危険度の高い有機塩素化合物や有機リン化合物なども分解できる。処理に伴う消費電力量に対して、およそ 2.5 倍分を生成できるという。

 

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 実証実験では、想定している実装サイズの10分の1ス ケールで、高圧ボイラーの付属を必要とせず電気だけで稼働するタイプのISOPを活用する。新宿 センタービル内の廃棄物処理室(地下4階)の一部に設備を設置し、燃料製造過程での振動や、騒音、臭気等によるビル内への影響を検証する。

 

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 生成した亜臨界水処理物の一部は、サステイナブルエネルギー開発が山形支店に設置しているペレット製造装置でバイオ石炭に変換する。製造したバイオ石炭のエネルギー密度、残留塩 素等の含有率などを分析し、オンサイト型発電装置や大型火力発電所などでの利用に支障がないかどうかを検証する。また、ビル内部に設置できる超小型メタン発酵槽の開発可能性も探る。

 

 処理に用いる電力は、東電 EPが、非化石証書等を加味した再エネ電力を供給するので、脱炭素にも配慮した取り組みとする。東京建物、明治安田生命、および JPR は、今回の検討結果をもとに、将来、新宿センタービルや他の保有ビルから発生する有機性廃棄物から生成したバイオ石炭を、燃料として利用するほか、電気や蒸気に変換したうえでビルに供給するモデル事業への展開を目指す計画という。

 

 東電EPは、実証実験で生成されたバイオ石炭を、火力発電所での代替燃料としての活用の可能性を検討するとしている。

https://pdf.irpocket.com/C8804/p5Zl/fTWP/ON8F.pdf