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インドネシアの島の森林を皆伐する木質ペレット事業の阪和興業と、同事業から燃料輸入の東京ガス向けのNGOの「要請書」に、国内金融機関の大半(86%)が回答。危機意識広がる(RIEF)

2026-09-02 13:52:36

 (写真は、環境NGOの「バイオマス発電info」のサイトから引用)

  

 インドネシア・スラウェシ島での熱帯林を伐採して日本向けの木質ペレット生産を推進している日本の阪和興業と東京ガスの主要株主である内外の金融機関に対して、同事業による熱帯林破壊と人権侵害リスクを減少させるため、環境NGOら6団体が、この4月に、ESGエンゲージメントと投融資の見直しを求める要請書を送付した。環境NGOらが、1日公表したところ、同要請に対して、3メガバンクや大手証券会社等の国内金融機関14社のうち12社(約86%)が回答を寄せるなど、高い回答率となった。一方で、ブラックロック等の海外金融機関からの反応は57社中8社(回答率約14%)と限定的だった。NGOらはこれまで投資家・金融機関に対して、木質バイオマス発電の問題について継続的に対話を重ねてきたが、今回の国内金融機関の回答率は極めて高く、本事業に対する危機意識の広がりを示していると注視している。

 

両社の主要株主に要請書を送ったNGOは、ウータン・森と生活を考える会、プランテーション・ウォッチ、熱帯林行動ネットワーク、マイティ・アース、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、それに「バイオマス産業社会ネットワーク」の泊みゆき理事長の5団体、1個人。要請内容は、「生物多様性ホットスポット」であるインドネシア・スラウェシ島において、木質ペレット生産・調達に関与している、日本の阪和興業および東京ガスの主要株主(国内外の金融機関71社)に対し、「ESGエンゲージメント及び投融資の見直し(Divestment)を求めるものだ。https://rief-jp.org/ct7/161957?ctid=

  

 要請書では、東京ガスまたは阪和興業の株主・融資銀行としての各金融機関に対して、両社に対するESGエンゲージメント(環境・社会・企業統治に配慮するよう対話と働きかけを行うこと)を要請するとともに、十分な改善が確認されない場合には、投融資の見直し(ダイベストメント)を含む責任ある対応を検討するよう求めた。

  

スラウェシ島の位置。ボルネオの東隣の島(Googleから引用)

  

 同要請に対して、オンラインまたは対面での直接対話を受け入れた企業は14社中4社あった。そのうち、国内の資産運用業のA社とは、阪和興業の当該ペレット生産事業について、「EIA(環境影響評価)が未公開であること」「絶滅危惧種への影響」「人権への影響(洪水被害など)」など、現場の実態と阪和興業の建前との乖離について深い質疑を実施したとしている。同対話では、投資家側から「現実に企業に何を要求していくべきか(EIA公開やTNFD開示、伐採・調達の即時停止か段階的停止か)」についての投資家側の戦略立案でのすり合わせを求められたとしている。NGO側のアドバイス等を受けて、同社は、今後の「投資判断に生かす」としたとしている。

  

 また国内保険会社のB社は、直接対話において「天然林伐採に伴う水害・洪水リスク(災害リスク)」に強い関心を示し、固有種・絶滅危惧種に対する悪影響と合わせて、こうしたリスクが明らかにも関わらず企業が出資判断を行っている現状を踏まえ、「阪和興業のガバナンス(リスク判断の体制)に疑問を呈する見解」が示されたとしている。すでに阪和興業に対してエンゲージメントを行っていると回答した企業(運用会社)もあった。海外の運用会社は「認証制度や合法性証明等に依存するだけでは現場のリスクは防げない」として、要請書の懸念事項に完全同意し、東京ガスの取締役会に対して、環境・人権リスクに関するガバナンスと情報開示の透明性について、直接エンゲージメントを行う意向を示したとしている。

  

 同じく海外の銀行は、「一次熱帯林の伐採」や「高炭素貯留林(HCS)の転換」等を伴う事業には「資金提供しない(will not finance)」と明言したほか、NGOからのレポートもクライアント対話のスコープに含める等と回答した。別の海外銀行は「バイオマス事業への融資には「赤道原則(EP4)」に基づく「FPIC(住民の事前の自由な同意)」の取得が必須との見解を示した。

  

 NGO側はこれらの、両社に関与する金融ステークホルダーの意見、懸念なども踏まえ、阪和興業に対して、① 木質ペレット生産のための熱帯林伐採の即時停止②事業地(伐採エリア)のEIAの公開③ 固有種・絶滅危惧種のリストおよび保全措置の詳細な説明 住民協議/FPICの実施記録の公開④住民との軋轢の解消に向けた措置--等を求めた。一方の 木質ペレットの需要家である東京ガスに対しても、持続可能性・法令遵守・人権尊重の観点から、①このような状況で調達を継続することは許されない②調達を即座に停止した上で、上述の行動をサプライヤーに求め、適切な対応が見られない場合、調達を見直すべき③ 日本の再エネ事業が、インドネシアの貴重な生態系と人々の命・生活基盤を破壊して成り立つことは、気候変動対策として完全に破綻しており、到底責任あるビジネスとは言えないーー等を指摘したとしている。

  

 NGOらは、両社が関与するインドネシアからの木質ペレットの日本への輸出で生じている環境破壊や人権侵害を即時停止することを求める市民等の反対署名が1万件(14,094筆8月24日時点)に上っていると指摘。6月26日に開催した東京ガスの定時株主総会でも株主から「インドネシア産バイオマス燃料が現地の森林破壊や地元住民の人権侵害につながっている」との指摘が示された。メディアによると、これに対し同社の担当役員は「遺憾であり、重く受けとめている。現地の燃料事業者にはそうした課題の解決を図るよう、働きかけたい」と発言したと報じられている。

  

 阪和興業は、スラウェシ島・ゴロンタロ州のペレット工場(PT. Biomasa Jaya Abadi:BJA)に20%出資しており、生産されたペレットを、日本や韓国でのバイオマス発電所での燃料用として販売を続けている。日本向けの木質ペレット輸出では、従来、ベトナム産が主流だったが、同国の輸出ペレットに森林認証の偽造問題が発覚したことから、インドネシア産に産地を切り替える商社や、発電所が増えている。阪和興業によるインドネシア産の木質ペレットは、その一部が、東京ガスの富山県・伏木万葉埠頭バイオマス発電所で燃料として使用されている。

 (RIEF)

 https://bioenergyinfo.jp/topics/260901sulawesi-biomass-risk_investor-response/

 https://hutangroup.velvet.jp/db/pdf/tokyogas_hanwa_shareholders_letter_260401_jpn.pdf