HOME12.その他 |日本人を含む8カ国の成人対象の食事調査で、全員からマイクロプラスチック検出。便10g当たり平均20個。健康影響は不明。大規模調査の必要性。オーストリア政府とウィーン医科大の共同研究(RIEF) |

日本人を含む8カ国の成人対象の食事調査で、全員からマイクロプラスチック検出。便10g当たり平均20個。健康影響は不明。大規模調査の必要性。オーストリア政府とウィーン医科大の共同研究(RIEF)

2018-10-24 18:08:43

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   日本人を含む8カ国の成人に対する調査で、全員の体内にマイクロプラスチックが残留していることが確認された。オーストリアの連邦環境局とウィーン医科大学の共同のパイロット調査で判明した。パイロット調査のため、対象サンプルが限られているが、人体がマイクロプラスチックを摂取していることを確認した研究結果は初めて。

 

 調査結果は、23日にウィーンで開いたEU消化器学会国際会議で発表された。それによると、検査対象は、日本人のほか、フィンランド、オランダ、英国、イタリア、ポーランド、ロシア、オーストリアの8カ国のボランティアの成人。女性5人、男性3人の内訳だ。

 

 調査は対象者の1週間の食事状況をチェックし、排泄した便を検査した。対象の8人はいずれも、調査期間中、プラスチックで包装された食品や、ペットボトルに入った水を摂取した。8人中6人は、魚あるいはシーフードを摂取したが、野菜だけに限定して食事をした人は含まれていない。

 

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 その結果、対象者全員から、大きさ0.05~0.5mmのマイクロプラスチックが見つかった。まt便10g当たり平均20個のマイクロプラスチックが検出された。検出されたプラスチックは、食品の包装などに使われるポリプロピレン(PP:polypropylene)や ペットボトル素材のPET (polyethylene terephthalate)など9種類と判明した。

 

  調査を担当したウィーン医科大学のPhilipp Schwabl氏は「対象サンプル数が限られているので、食事とプラスチック汚染の関係を明確に立証できたとはまだ言えない」と慎重に説明している。だが、今回の調査をベースにすると、世界の半分以上の人間の排便にマイクロプラスチックが混じっている可能性があることになる。

 

 同氏は、そうしたことが人体にどう影響を及ぼすかについて、「検査対象を拡大した大規模な研究が必要」と述べ、今後の調査拡大を目指している。

 

 他の同様の調査研究では、動物の消化器官内に、高い数値でマイクロプラスチックが蓄積していることを示すものや、血液やリンパ、さらに肝臓などから少量のマイクロプラスチックが検出されたとする調査もある。Schwabl氏は、「マイクロプラスチックを摂取することで、炎症反応が起きたり、有害物質の影響等で、消化器官がダメージを受ける可能性は示された」と述べている。

 

 マイクロプラスチックはプラスチックごみなどが壊れてできる大きさ5mm以下のものをいう。特に海洋汚染によって魚やシーフードに取り込まれるリスクが指摘されている。これまでの調査でも、世界各地の水道水や塩、東京湾の魚などから検出されている。