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東電福島第一原発 廃炉作業従事の事業者の過半で、割り増し賃金未払い・労働者健康管理無視などの労基関係法違反続く。今年の違反件数すでに過去最高に(RIEF)

2015-11-24 20:42:57

fukushimaworkersキャプチャ

 厚生労働省・福島労働局は、東京電力福島第一原発の廃炉作業に従事している事業者の過半数(56.5%)が、労働者に深夜労働に対する割増賃金を支払わないなど、労働基準関係法令違反をしていた、と発表した。


 調査は2011年3月~今年9月までに同局が実施した724事業者に対する監督結果をまとめた。その結果、409事業者において割増賃金未払いなどの労働条件違反が発覚、線量の測定違反などの安全衛生違反が250件で、合計656件の法令違反を確認したという。このうち、労働者に線量計を正しく装着させる指導をしないなど放射線防護に関する違反は113件だった。

 

 年毎の違反率等の推移をみると、2011年の事故発生年の違反率が74.5%と最も高かったが、違反件数は59件とまだ少なかった。その後2013、14年、今年(9月まで)と50%超の水準が続いている。違反率は現時点では昨年(59.7%)より少し下回っている(55.8%)が、違反件数はすでに昨年の213件を上回る225件となっており、今年が過去最高の違反件数となるのが確実だ。

 

 廃炉作業労働という危険な作業で、労働条件や安全衛生面での違反が減らず、むしろ次第に増加しているという傾向は、作業を業者、それも下請、孫請け業者任せにしながら、十分な監視監督体制をとってこなかった国の責任が大きいといわざるを得ない。このままでは廃炉作業に取り組む労働者の質量両面での確保が難しくなりかねない。国の長期的な責任体制の不備が、いずれ露呈、二次災害につながる恐れが懸念される。


 労働局の調査をみると、労働条件関係の違反では、割増賃金の未払いが突出して多く、168件、次いで賃金台帳の不備(63件)、労働条件通知書未提出(48件)、時間外労働(37件)と続く。安全衛生関係の違反では、その他項目が137件ともっとも多かった。その中には、元請の下請に対する指導の不備、機械等の定期自主検査の不徹底などがある。次いで、線量当量の測定不備(47件)、健康診断結果の報告不備(32件)など。労働者の放射能被害からの防止体制が、依然、不十分であることを示している。

 

 調査期間を通してみると、事故の収束作業が次第に進んでいることから、労働安全に関わる違反が減少傾向を示しているが、労働条件に関する違反は依然として高い水準で発生している。今年に入っても1-9月での違反件数は179件で、昨年1年間(138件)をすでに上回っている。

 


 今年指摘された主な違反は、①食費や家賃などを労使協定を結ばず勝手に賃金から天引き②労使協定を結ばず一日8時間、一週40時間を越える時間外労働をさせていた③週40時間を越す時間外労働に対して割増賃金(2割5分以上)を払っていない④割り増し賃金の算定に危険手当などを含めていない⑤午後10時から午前5時までの深夜労働に割増賃金を払っていないーーなど。

fukushimaworkers2キャプチャ


 労働局監督課の担当者は「除染作業と同様に、業者の出入りが激しく、違反が繰り返されている」と指摘している。

http://fukushima-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/fukushima-roudoukyoku/kantoku/pdf/1511genpatsujigyousha_kantokukekka.pdf