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九電が玄海1号機の廃炉計画を申請  廃炉完了までに28年間。放射能汚染廃棄物の捨て場なし(佐賀新聞)

2015-12-23 20:58:14

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九州電力は22日、玄海原発(東松浦郡玄海町)1号機の廃炉工程をまとめた「廃止措置計画」の認可を原子力規制委員会に申請した。

 

  安全協定に基づき、立地自治体の佐賀県と玄海町に事前了解願を提出した。規制委が計画を認可すれば、2016年度に作業に着手し、4段階に分けて原子炉や建屋の解体工事を行う。完了予定は43年度で、工期は28年間になっている。

 

 工程は、第1段階(約6年)で原子炉周辺設備の放射性物質による汚染状況を調査し、放射性物質を取り扱わない2次系設備の解体に着手する。第2段階(約8年)で原子炉周辺の低線量設備を、第3段階(約7年)で原子炉容器や蒸気発生器などを撤去する。第4段階(約7年)では、建屋内の放射性物質を取り除き、最後に建屋を解体する。廃炉費用は約364億円で、これまでに331億円を積み立てている。

 

 現在、敷地内にある1号機の使用済み核燃料は352体で、1号機プールに240体、共用している4号機プールに112体を保管している。第2段階が終わるまでに他号機のプールなど1号機の施設外に運び出す。廃炉完了までに再処理事業者に搬出する計画だが、青森県六ケ所村の再処理工場の稼働は見通しが立っていない。新燃料80体は第2段階終了までに燃料加工メーカーに戻す。

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 廃炉に伴って発生する廃棄物は約20万2千トン。このうち放射線管理区域から出る約7020トンは、放射能レベルに応じて処分する。制御棒など最も汚染度が高い廃棄物約100トンの処分方法は未定で、国が制度を検討している。放射性廃棄物約3千トンは現時点の計画で「廃炉完了までに敷地外の廃棄事業者に引き渡す」としている。管理区域外から発生する19万5千トンは再利用や産業廃棄物として処分する。

 

 九電は今後、放射性物質の漏えいや拡散防止など廃炉作業に伴う安全確保対策を保安規定の中に定め、原子力規制委に認可申請する。第1段階で実施する汚染状況調査を踏まえ、第2段階に入る前までに具体的な解体方法や手順、放射性廃棄物の処理方法などを盛り込んだ廃炉計画の変更認可を受けるとしている。

 

 1号機をめぐっては、原発の新規制基準で運転期間が原則40年と定められたことを受け、対策工事の投資が回収できないとして3月に廃炉を決めた。ほかに関西電力美浜1、2号機、日本原電敦賀1号機、中国電力島根1号機の廃炉が決まっているが、廃炉計画の認可申請は玄海が初めて。genkai2キャプチャ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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九州電力は22日、玄海原子力発電所(佐賀県東松浦郡玄海町)の1号機について、廃炉計画を国に申請した。来年度から解体を始める計画だが、放射性廃棄物の行き場はなく、一部では国の基準すら決まっていない。先行する原発では隣接地に埋める予定で、今後は「廃炉のごみ」の問題と直面することになる。

 

 玄海1号機の解体で出る廃棄物は、約20万2030トンと試算されている。廃棄物は放射能汚染レベル別に5段階に分類され、このうち発電機やタービンなど全体の98・56%(約19万9120トン)は、一般の廃棄物と同じ扱いで処分される。

 

 最も汚染レベルが高い「L1」に分類されるのは、制御棒など原子炉内にある構造物で、全体の0・05%(約100トン)。国は地下深くに埋める「余裕深度処分」をするとしているが、立地条件や施設の強度など技術的な基準は、現在も国の検討チームで議論が続いており、処分場は存在しない。

 

 原子炉内の水を循環させていたポンプや細管などは、汚染レベルが2番目に高い「L2」に分類される。全体の0・40%(約800トン)を占め、コンクリートで固めた浅い地下に埋める。原子炉格納容器外側のコンクリートや鋼板など全体の0・99%(約2010トン)となる廃棄物は、3番目の「L3」に分類され、コンテナなどに入れて浅い地下に埋めた後、おおむね50年管理する。

 

 しかし、L2、L3の廃棄物も行き場はない。これまで運転中に出ていた同レベルの廃棄物は、敷地内に保管しているほか、一部はドラム缶に入れて青森県六ケ所村の処分場に搬出している。ただ、国の事業許可上、発電時以外の廃棄物を持ち込むことはできないことになっている。

 

 商用炉で国内初の廃炉を進める東海発電所(茨城県東海村)では、2001年から解体を進めているが、隣接する社有地にL3廃棄物を埋める事業許可を今年7月に申請したばかり。L2については解体に着手しておらず、処分場も決まっていない。

 

 九電は放射性廃棄物の行き場に関し「現時点では敷地外の廃棄事業者に引き渡す」とし、「処分場が決まるまでは、玄海の敷地内で適切に保管することになる」と説明している。

 

 これに加え、原子炉周辺の解体前に搬出する使用済み核燃料も、六ケ所村はほぼ満杯で受け入れの見通しは立たない。このため九電は、一時的な保管場所として敷地内に乾式貯蔵施設建設も検討している。

 

 放射性廃棄物が敷地内で埋設されれば、原発立地が半永久的に請け負う可能性もある。国内の原発で新たな廃炉が続くことが現実味を帯びる中、九電や地元だけでなく国民全体が、これまで先送りされてきた原子力政策の重い課題を突きつけられている。

 

■廃炉認可の流れ

「前例とらわれず厳格に」 規制委発足前、浜岡原発は半年で認可

 

 九州電力の廃炉計画申請を受けて、原子力規制委員会は今後、計画を認可するかどうかの検討に入る。規制委が発足して初のケースで、事務局の原子力規制庁は「前例や事業者側の計画にはとらわれずに厳格に進めていく」としている。

 

 審査では、廃炉作業を進める過程で万一事故が起きても周辺に影響がないか、廃棄物が適切に処理されるかなど計画の妥当性をチェックする。具体的な審査方法は決まっていないが、規制庁が非公開で九州電力と面談し、内容だけを文書で公開する手順を検討している。

 

 規制委が発足する前は、中部電力が浜岡原発1、2号機(静岡県)の廃炉を2009年6月1日に申請し、半年後の11月18日に認可された。今回、九州電力はこの事例を踏まえて「2016年度中の認可」を前提にしたスケジュールを組んでいる。

http://www.saga-s.co.jp/column/genkai_pluthermal/20201/262530

http://www.saga-s.co.jp/column/genkai_pluthermal/20201/262529