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大和企業投資、中国の国有環境企業等と連携、長江流域の生態系保全とSDGs目標達成を目指す「環境投資ファンド」設立。将来的に10億人民元(約160億円)規模へ拡大目指す(RIEF)

2020-11-30 23:19:11

daiwa001プチャ

 

 大和証券グループの大和企業投資は、中国中央政府直轄の国有企業として唯一の環境専業企業集団の「中国節能環保集団有限公司(中節能)」等と連携し、長江(揚子江)流域の生態系保全や国連の持続可能な開発目標(SDGs)達成をコンセプトに掲げる中国版の環境投資ファンド「中節能環境ファンド」を設立した。同ファンドには大和企業投資も出資する。段階的に中国投資家の投資を拡大し、10億人民元(158.4億円)規模での運用を目指す。

 

 大和企業投資は、2009年以来、湖北省高新産業投資集団有限公司 (湖北省産業投資)と共同で、中国の未上場企業に投資を行なうプライベート・エクイティ・ファンド2本(出資約束総額11億元)を運用するなど、中国での投資事業に力を入れてきた。今回、同社が連携するのは、中節能と湖北国翼投資管理有限公司(国翼)の2社。

 

 両社をコア・パートナーとし、それ以外の戦略的投資家からの資金調達も予定している。ファンドの投資期間は4年間、運用期間は7年に設定している。中国は来年5月、新型コロナウイルス感染拡大で延期された生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)を昆明で開催する予定。ファンドはこうした政治環境も踏まえて、生物多様性・生態系保全と整合した投資事業の開発支援を目指すことになる。

 

国際会議で説明する中節能の代表
国際会議で説明する中節能の代表

 

 投資対象事業は、中国の省エネ・環境・循環型経済・ 新エネルギー・新材料・設備製造等の分野の優良企業を選別して投資する。連携する新規パートナーは段階的に拡大していく方針。

 

 「中節能投資ファンド」の中核コンセプトは、長江(揚子江)流域の生態系保全のほか、中国でのSDGs関連事業への支援。 中国では、生態系に配慮した経済の発展が社会的課題となっている。特に、長江経済ベルト地帯は、人口や経済規模で中国全土の40%超を占める。一方で、この夏には、三峡ダム一帯での増水問題が国際的に注目を集めるなど、生態系保護の重要性も高まっている。

 

 中国政府は2016年発表の「長江経済ベルト発展計画綱領」で、①湖北省武漢市を軸とする「中流域都市圏」②上海 市を軸とする「長江デルタ」③重慶市を軸とする「成渝(成都・重慶)都市圏」、の3極を経済ベルト発展の基点とする方針を示している。こうした長江経済ベルト発展計画では、生態環境保護を最優先とするとの理念も示されている。

 

 大和企業投資が連携する中節能は、中国中央政府直轄の国有企業。中国政府から長江経済ベルトでの汚染浄化プロジェクトの主力事業体に指定され、長江流域の生態環境保護に関する事業投資を積極的に推進している。もう一社の国翼は、 湖北省産業投資が主導して設立した投資プラットフォーム。武漢市を本拠とし、 主に華中エリアでファンド事業を展開中だ。

 

 設立する中節能ファンドの運用及び管理は、大和企業投資とコア・パートナーが共同で設立した管理会社(中節能翼和(湖北)基金管理有限公司)が行う。同社には大和企業投資が30%出資する。大和企業投資はこれまでの投資活動のノウハウ・ネットワークをフル活用するほか、 大和証券グループの経営資源も活用して、投資リターンの確保を目指すとしている。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/8601/tdnet/1909423/00.pdf

http://www.cecep.cn/