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2020年の世界での電気自動車(EV)の新車販売台数は過去最高の41%増、300万台。欧州市場が中国市場を初めて抜く。日本市場は低迷のまま。国際エネルギー機関(IEA)が報告(RIEF)

2021-04-29 22:17:41

IEAEV002キャプチャ

 

  国際エネルギー機関(IEA)が29日発表した「グローバル電気自動車(EV)見通し2021」によると、2020年に世界で販売された電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)の合計台数は史上最高の約300万台に達した。自動車全体の新車販売伸び率は新型コロナウイルス感染拡大の影響で前年比16%減だったが、EVは逆に同41%増と急増した。国別では欧州での販売が中国を抜いて最大となった一方で、日本は11%減と3年連続のマイナス。世界のEV拡大から取り残されていることが浮き彫りになった。

 

 IEAによると、2020年の欧州市場の新車販売は前年比22%減とコロナの影響で大きく落ち込んだ。にもかかわらず、EV車は倍増の140万台で、初めて新車販売全体の10%を占めた。その結果、中国の120万台を初めて上回った。

 

 欧州の国別では、ドイツが最大の市場。新車EV台数は39万5000台、次いでフランスが18万5000台、英国17万6000台の順。EV普及率の高いノルウェーでは新車に占めるEV比率は75%になった。新車EV比率が高いのはアイルランド50%、スウェーデン30%、オランダ25%。

 

国別の累積EV販売台数
国別の累積EV販売台数㊧、車種別累積台数㊨

 

 EVの累積台数では中国が最も多い。中国の全体の新車販売台数は、コロナ禍による影響は他の地域よりも小さく9%減。2020年の上半期は落ち込んだが下半期に回復した。新車販売に占めるEV比率は5.7%で、前年の4.8%から上昇した。当初は20年末で打ち切られる予定のEV補助金は、コロナの影響で、補助率を10%削減して2022年まで延長された。一方で、コロナ対策の経済支援として、一部の地域で通常のガソリン車等の免許緩和政策がとられたために、EV車への乗り換えが鈍った面もあると指摘している。

 

 米国の新車販売市場もコロナ禍で前年比23%の減少となった。EV車の伸び率も、全体ほどではないが減少した。2020年のEV販売台数は29万5000台で、ドイツ一国よりも約10万台少ない。新車販売に占めるEV比率は約2%でしかない。連邦補助金が削減されたことも影響した。しかし、気候変動対策を強化するバイデン政権の下で、EV市場が急拡大する期待が高まっている。

 

主要国別のEV販売台数の推移
主要国別のEV販売台数の推移

 

 日本市場は新車販売台数全体が11%削減だったが、EVの新車販売比率はそれ以上の25%削減と落ち込んだ。日本のEV新車市場はコロナの影響とは別に、2017年をピークに3年連続で減少している。17年の販売台数は5万4000台で新車販売全体の1%。202 0年は2万9000台の販売で、新車比率は0.6%に下がっている。日本の新車市場ではハイブリッド(HV)が強いことも影響しているとみられる。ただ、日本も菅政権が「2050年ネットゼロ」を打ち出し、30年比率も「46-50%」と相対的に削減比率を高めたことから、EVへの政策的支援策が期待されている。

 

 全体的には、2020年のEV急増の結果、世界全体での累計のEV車数は1000万台を突破した。このほかに、電動のバスが60万台、同ト3万1000台。今年の第一四半期もEV市場は引き続き好調で、前年同期比2.5倍増に近いペースで推移しているという。そのうち、中国市場が50万台、欧州市場が45万台で、中国が盛り返しつつある。2020年末の累計では中国が450万台、欧州が320万台となっている。

 

 2030年の累計EV車数の見通しは、現状の政策が継続する場合は、累計で1億4500万台になる。さらにパリ協定の目標達成と整合的なSustainable Development scenarioの展開になる場合は、累計で2億3000万台にまで増え、世界の道路上で走行する自動車の12%を、EVが占めることになると推計している。

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