HOME10.電力・エネルギー |世界のEV販売。昨年は前年比2割増の過去最高の2200万台に。今年も中東危機による消費者需要で増大へ。新車販売の約3割を占める見込み。国際エネルギー機関(IEA)年次報告(RIEF) |

世界のEV販売。昨年は前年比2割増の過去最高の2200万台に。今年も中東危機による消費者需要で増大へ。新車販売の約3割を占める見込み。国際エネルギー機関(IEA)年次報告(RIEF)

2026-05-21 13:31:44

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写真は、IERAの『グローバルEV年次報告』から)

 

  国際エネルギー機関(IEA)は20日、2025年の世界の電気自動車(EV)の新車販売が、前年比20%増加して2000万台超えの2200万台となり、世界中で販売された新車の4分の1を占めたと発表した。今年も中東でのイラン紛争で石油供給が不安定な状態が続いていることから、ガソリン自動車よりもEVへの需要シフトが続き、昨年より増えて約2300万台になると見通している。その結果、今年の新車販売に占めるEV割合は全体の約3割に拡大すると予測している。

 

 IEAが年次報告書『Global EV Outlook』の最新号で明らかにした。EV生産では中国が突出し、昨年の世界全体で販売された約2200万台のEVのうち、4分の3近くが中国産だった。中国ではEVの生産量が国内需要を上回ったため、輸出量が倍増し、250万台超という過去最高を記録した。中国、欧州、米国の世界3大EV市場以外でみると、これらの地域市場で販売されたEVの55%が中国からの輸入EVだった。5年前には中国産EVの世界市場比率は5%未満だったことから、急速に増大していることがわかる。

 

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 年次報告書では、EVの生産・供給動向や充電インフラの導入に関連する主要な市場動向や政策動向に加え、EV普及の拡大が電力、石油、排出量に及ぼす影響も分析している。世界全体で生産台数が2200万台に達した昨年は、約40カ国において、新車販売に占めるEVの割合は10%以上となった。生産面では、中国の自動車メーカーが世界販売台数の60%を供給し、欧州および北米の自動車メーカーはそれぞれ世界販売の約15%を占めた。

 

 EV生産における中国集中の増大は、中国政府のEV優遇政策と中国EVメーカーの積極的な生産・販売対策の影響が大きいそれに加えて、米国がトランプ政権になって、バイデン前政権のEV優遇先を「一掃」したことから、米国市場でのEV普及に大きなブレーキがかかったことも影響しているとみられる。

 

 今年第1四半期の世界のEV販売台数は、前年同期比で8%減少だった。ただ、このEV減速は米国市場が中心になっている。トランプ米政権は25年9月にEV購入の税額控除を廃止した。それ以外の多くの国や地域ではEV販売は堅調に伸びていた。欧州では前年同期比で30%近く販売が増え、中国を除くアジア太平洋地域では80%急増、ラテンアメリカでは75%増加した。

 

 このため、報告書では、今年も通年ではEV販売が堅調に推移すると見込んでいる。中東情勢の悪化で燃料価格が上がっており、消費者がEVに乗り換える動きが続いているためだ。米国とイスラエルのイラン攻撃で、イランが対抗策としてホルムズ海峡の事実上の閉鎖措置をとった以降の3月には、世界約90カ国で、価格急騰となったガソリンを燃料とするガソリン車に代わって、EV販売が前年同月比で増加した。このうち、約30カ国で過去最高の月間販売台数を記録した。

 

 IEAの報告書は、イラン情勢という特殊要因だけでなく、主要市場においてEVの価格競争力がますます高まっている点も強調している。EVの価格低下が燃料価格の変動を懸念する消費者を含む需要を、引き続き後押しする可能性があるとしている。さらに、2035年までを展望すると、各国でEV優遇の新たな政策発表がなくても、世界のEV保有台数(二輪車および三輪車を除く)は、現在の約8,000万台から5億1,000万台にまで急増すると予測している。

 

 IEA事務局長のファティ・ビロル(Fatih Birol)氏は「昨年、世界の100カ国近くでEVの販売台数が過去最高を記録した。EVの人気拡大は、自動車市場およびエネルギーシステム全体にとって大きな転換点となっており、史上最大の石油供給ショックに見舞われている現在、一定の救いとなっている。今後、バッテリー価格の下落や、現在の世界的なエネルギー危機に対する政策対応の可能性が、EV市場にさらなる勢いをもたらすだろう」と述べている。

 

 報告書によると、電気トラックの販売も大幅に増加しており、その大部分も中国製で占められている。2025年の世界販売台数は前年比で2倍以上増加した。昨年、世界で販売されたトラックの10台に1台近くがEVモデルだった。また、道路輸送セグメントの中で最も電動化が進んでいる二輪車および三輪車も、2025年に引き続き成長を続けた。

 

 地域別では、東南アジア(ASEAN)市場がEV需要の高い地域となっている。同地域の年間EV販売台数は昨年に2倍以上に増加し、域内でのEVの市場シェアは20%近くに達した。最新の予測では、価格動向や政策面の追い風を受けて、そのシェアは2035年までに60%に増加する可能性があるとしている。

 

 東南アジアのうち、ベトナムなどの一部の国々では、現在のエネルギー危機への対応策の一環として、EVに対する税制優遇措置の拡大や延長計画をすでに発表している。

 

 世界最大のEV生産国である中国はEVサプライチェーンにおいても支配的な地位を維持している。2025年には電池セルの生産で世界の80%以上を占め、EV用バッテリーの主要材料の生産シェアはさらに高くなる見込みとしている。こうしたEV需要の世界的な増大の中で、日本市場が例外的に低迷し続けているのは、極めて異例だ。

                        (藤井良広)

 

https://www.iea.org/news/close-to-30-of-cars-sold-this-year-are-set-to-be-electric-as-countries-and-consumers-respond-to-energy-crisis

https://www.iea.org/reports/global-ev-outlook-2026