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川崎重工、浮体式のLNG発電プラント(CCPPモデル)開発。設計基本承認取得。沿岸部で発電、陸上に電力供給。途上国や島嶼部等への安定電源供給に活用へ(RIEF)

2019-10-16 13:31:01

kawasaki1キャプチャ

 

  川崎重工は、浮体式のLNG発電プラント(CCPPモデル)を開発、世界的な船級機関のDNV GLから設計基本承認を取得した。同プラントは、プラットフォーム上に、LNG燃料タンク、LNG気化装置、発電設備、受変電設備の全てを搭載している。海上や河川を曳航し、設置場所に係留しながら浮体上で発電、陸上の送電網に電力を供給できる。電力需要の伸びが著しい東南アジア諸国や島嶼地域などの需要が見込まれる。

 

 川崎重工は、5月に自社製ガスエンジンを搭載した浮体式LNG発電プラント(ガスエンジンモデル)でも基本承認を取得している。今回の承認で、ガスタービンコンバインドサイクルおよびガスエンジンによる浮体式LNG発電プラントでは2つのモデルをそろえたことになり、顧客のニーズに応じた体制が整った、としている。

 

DNV GLの関係者から設計基本認証を授与される
DNV GLの担当者から設計基本認証を授与される

 

 今回認証を取得したCCPPモデルは、同クラスで世界最高水準の発電効率を誇るガスタービン(単体:40.3%、コンバインドサイクル:54.4%)を搭載。ガスタービンは、独自開発のドライ低エミッション(DLE)燃焼器により、窒素酸化物(NOX)の排出量は世界最高レベルの15ppm(O2=15%)以下を実現した。

 

 プラットフォームは、小型LNG内航船や、LNGバンカリング船と同等の堅牢性能を持ち、さらに防熱性能の高いアルミ製タンクを船体内部に搭載、その上部にガスタービンを設置する。ガスタービンコンバインドサイクルは、2基のガスタービン、同じく2基の排熱回収ボイラー、蒸気タービン1基で構成される。発電出力は80MW。LNGタンクは5500㎥のものを2基備える。

 

 同社は、1981年にアジア初のLNG運搬船の建造以来、これまでに40隻以上の建造実績があるほか、LNG燃料船、バンカリング船などLNG関連船種等、幅広い設計・建造の実績を持つ。

 

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 浮体式プラントは、陸上の発電所建設用地が不足する地域や、島嶼部などでの安定電源に活用が見込まれる。燃料のLNGは、重油に比べて発電コストで優位なうえ、石炭や重油等の他の化石燃料に比べて温暖化ガスの排出が少ないメリットもある。

 

 設計基本承認(AiP: Approval ㏌ Principle)を出したDNV GLは、ノルウェーに本社を置く世界有数の船級協会。海運業界では主導的な地位を担い、あらゆる船型および海洋構造物の安全、品質、エネルギー効率、環境性能の向上にグローバルに取り組んでいる。

 

https://www.khi.co.jp/pressrelease/detail/201910106_1.html