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米格付会社S&P、Exxon等の大手石油・ガス会社13社に格下げ通告。数週間以内に実施。主要国の気候対策強化で、石油・ガスセクター全体のリスクの高まりと、収益性低下を反映(RIEF)

2021-01-28 00:08:30

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 米格付会社S&Pは26日、Exxon Mobilなどの欧米中の13の石油・ガス会社の信用格付を、近く引き下げると通告した。低炭素社会への移行に伴うリスクの顕在化と、石油・ガス等の化石燃料資源が再生可能エネルギーとの競争にさらされること等を信用格付に反映させると指摘している。バイデン米政権が気候変動対策を明確に転換するとの見通しから、グローバルに化石燃料への需要が減退するとみられる事も反映する形だ。

 

 S&P Global Ratingによると、格付の見直しは今後数週間の間に示される見通し。格下げ幅は1ノッチの予定としているが、新型コロナウイルス感染の影響を受ける企業については「2ノッチも否定しない」としている。

 

 こうしたS&Pの方針から、格下げ対象のオーストラリアの石油・ガス事業会社のウッドサイド・ペトロリアム(Woodside Petroleum ) の場合、2ノッチの下げだと、BBB-にまで下がり、ジャンク債寸前になる。このため、オーストラリア証券取引所上場の同社株は、27日朝に前日比3.25%の下落となった。

 

27日朝、急落したWPの株価
27日朝、急落したWPの株価

 

 WPのほか、格付見直しの対象は、米Exxon Mobile、Chevron、Imperial Oil、 Royal Dutch Shell、 Shell Energy North America、Canadian Natural Resources、 ConocoPhillips、Total、さらに中国のChina Petrochemical Corp、 China Petroleum & Chemical Corp、China National Offshore Oil Corp、 CNOOCの4社も検討対象という。

 S&Pは、各個別エネルギー会社の格付の見直しだけでなく、石油・ガスセクター全体の事業リスクプロフィールを、これまでの「Intermediate(中程度)」から「moderately high(やや高い)」 に変更したとしている。化石燃料産業の低収益性と価格の不安定性を理由にあげている。

  またこれら13社のほかにも、英国のBPとカナダのSuncorの2社も,ネガティブ見通しとした。ただ、2社については、直ちに格下げする予定はないとしている。

石油・ガスへの2030年までの需要推移の予測(IEAのシナリオ)
石油・ガスへの2030年までの需要推移の予測(IEAのシナリオ)

 

 S&Pは格下げの理由として、低炭素経済へのエネルギー・トラジション(移行)により、石油・ガスセクター全体の不確実性が高まることをあげている。さらに、2005年~2015年を通じてドル建ての資本投資レベルが高水準で続いたことと、2014年以来の石油・ガス価格が低調に推移したことなどで資本投資利益率(ROC)が低下、収益性が下がっていることも要因としている。直近の価格変動の大きさもネガティブ要因としている。

https://www.spglobal.com/platts/en/market-insights/latest-news/oil/012621-oil-majors-credit-ratings-under-threat-from-growing-climate-risks-sampp-global