グローバル金融機関による「化石燃料ファイナンス」。2025年は前年比8%増の9064億㌦(約145兆円)。1位は米JPモルガンチェース。日本の3メガはそろってワースト10入り(RIEF)
2026-06-16 13:21:23
グローバルな金融機関による化石燃料事業等への投融資実態を調べた「化石燃料ファイナンス報告書2026」が、内外の環境NGOによって公表された。それによると、世界の上位65行の銀行が化石燃料関連企業約2,900社への2025年の投融資総額は前年比8%増の9064億㌦に達した。パリ協定発効後の10年間でみると、石油、ガス、石炭企業に提供された金額は累積で8.7兆㌦に膨らんでいる。個別では米銀のJPモルガン・チェースの投融資額が最も多く、2位も米銀のバンクオブアメリカ。3位に三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、4位にみずほフィナンシャルグループとなっている。三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)も8位で、3メガバンクすべてがトップ10に入った。LNG関連の投融資が増大している。
報告書の公表を担当した米環境NGO レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN:米国サンフランシスコ)の日本代表部では、「2020年代のエネルギー危機(ロシアによるウクライナ侵攻と、米国とイスラエルによるイラン攻撃)は、化石燃料への依存が世界的な不安定さの構造的要因であることを示している。化石燃料を輸入する国々に住む世界人口の4分の3の人々が、供給が途絶えるたびにその代償を支払っている」と指摘している。
報告書は「Banking on Climate Chaos 2026(化石燃料ファイナンス報告書2026〜気候カオスをもたらす銀行業務〜)として内外で公表された。
報告書は、世界の上位65行の銀行が約2,900社の化石燃料企業への投融資・引受額等をまとめた。分析の結果、2025年に銀行から化石燃料産業に提供された金額は9,064億㌦で、前年比8%増。化石燃料事業を積極的に拡大している企業への資金提供額は2025年だけでも前年比27%増と急増し、5,080億㌦に達した。RANは「このような資金提供は、地球温暖化を1.5℃に抑えるという目標とは相容れない」と批判している。

個別銀行別にみると、上図の上位12行の投融資状況では、米銀大手行が全体の半分を占める6行のランクインとなっており、それに次いで邦銀の3行が続く。残りはカナダ2行、英銀1行。EUから離脱した英国以外のEU銀行はランキングに1行も入っていない。
トランプ政権の「ドリル・ベイビー・ドリル」政策に乗り、積極的に化石燃料企業への投融資を再開している米銀グループと、LNG投融資を積極展開する日本の3メガバンクの「前のめりの姿勢」が目立つ形だ。
米日銀行の「積極性」が目立つ中でも、前年比伸び率では、米銀大手は、1位のJPモルガンチェース(12.6%増)と、10位のモルガンスタンレー(同24,2%増)と2ケタ台の伸び率を維持した。これに対して、2位のバンク・オブ・アメリカ(同5.5%増)、5位のシティ(2.5%増)、6位ウェルス・ファーゴ(同7.2%増)等では、伸び率は1ケタ台にとどまっており、伸び率の鈍化が目立つ。
一方、日本の3メガバンクの伸び率は、MUFGが21.1%増、みずほ12.8%増、SMBC17.5%増と、いずれも2ケタ台の伸び率で競っている。また8位の英バークレイズ銀行は、欧州銀行でもっとも化石燃料投融資額が多いが、前年比では5.3%減と減少を示している。上位行の中で前年比減少を示したのは同行と、12位のカナダのトロント・ドミニオン(6.5%減)。

日本の3メガバンクは、大規模なLNG拡大計画を持つ企業向けの資金供給額でMUFGが1位、みずほが3位、SMBCが5位となった(2025年)。3行による化石燃料ファイナンスの大部分は、米国に拠点を置く化石燃料企業に提供されている。
調査対象の上位65行は2025年、化石燃料の中流事業を拡大する企業への資金提供額を前年比で184%、すなわち1,160億㌦も増加させた。銀行からの資金提供額が2025年に最も多かった3社は、いずれも石油・ガスの中流部門の事業者。LNGは最も急成長している分野だが、LNG輸出基地(ターミナル)へのファイナンスを排除する方針を定めている銀行は上位65行中わずか5行だった。
借り手企業のトップは、米国のベンチャー・グローバル社。LNG開発事業やガスの輸出ターミナル建設等を手掛けており、2050年中に、化石燃料企業としては最大額の330億㌦を借り入れた。LNG企業は地政学的紛争を利用して、巨額の利益を得ている実態を示している。
上流(開発・掘削等の)のエネルギー企業への同年中のファイナンスは、前年の合計1,920億㌦から13%増の2,170億㌦に増加。中流(処理・貯留・パイプライン輸送等)へのファイナンスは、1390億㌦から83%増の2550億㌦に増大した。またガス火力発電への資金提供は、1540億㌦から29%増の1,990億㌦に、いずれも増大している。
また石炭採掘へのファイナンスも、2025年に資金提供額が77%急増し、840億㌦に達している。 石炭火力発電へのファイナンスも1年間で40%増加し、810億㌦に達している。化石燃料ファイナンスは完全にグローバル金融機関の主要な投融資先に「戻って」いる。
(藤井良広)

































Research Institute for Environmental Finance