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責任投資原則(PRI)、ブラジル・アマゾンの森林火災阻止のため、機関投資家が投資先企業に「反森林伐採」を働きかける声明をとりまとめへ。日本のPRI署名機関の声明賛同は(?)(RIEF)

2019-09-05 14:03:55

Amazonfire1キャプチャ

 

  国連支援の責任投資原則(PRI)は、ブラジル・アマゾンの森林火災問題 に対処するため、署名している機関投資家に向け、投資先企業にサプライチェーンを含めて森林伐採を事業から排除するよう求める声明案への署名を呼びかけている。を呼びかけている。PRIには日本の資産保有機関20、資産運用機関44が署名しているが、これらの機関の「反森林伐採声明」に、何機関が加わるかが注目される。

 

 PRiは、署名機関に対して、今月13日までに声明案に対する署名を求めており、同16日に公表する予定。声明案は、ブラジル、ボリビアに広がるアマゾン熱帯雨林が地球全体の気候変動緩和、生態系維持等に重要な役割を果たしていることを指摘、現在のアマゾンの森林伐採状況は危機的状況に近い、と憂慮を表明。

 

 機関投資家として、森林伐採に関連する投資先企業に、評判リスクや規制リスクの高まりという形で金融的影響を及ぼすことに懸念を持つことを示している。また、現在のアマゾン地域での森林伐採率の上昇を考えると、ブラジルでの森林伐採に関連する企業やサプライチェーンは国際市場へのアクセスの困難さを増すだろうと、指摘している。

 

PRI2キャプチャ

 

 一方で、ブラジル企業で構成する「Brazillian Business Council for Sustainable Development(CEBDES)」などが、違法な森林伐採を即座に除外するために、森林伐採をコントロールしモニタリングするシステムの実施宣言を表明したこと等をとりあげ、歓迎した。またブラジルの農作物関連企業が、それぞれのステークホルダーから「森林伐採フリー・サプライチェーン」の表明を求められている動きも紹介した。https://cebds.org/blog/nota-do-cebds-sobre-a-amazonia/#.XXCWAUsUmUn

 

 森林伐採を懸念する機関投資家の動きはすでに起きている。ノルウェー最大の年金基金KPLは、ブラジル産の大豆を扱う米カーギルなどに対して、緊急のエンゲージメント活動を実施したほか、BlackRock等の他の投資家とも連携して、関連企業への働きかけを検討し始めている。http://rief-jp.org/ct6/93269?ctid=69

 

 声明案は、こうした先行する動きも踏まえ、投資先企業に対して、森林伐採の自らの事業およびサプライチェーンにおいて排除する明確なコミットメントを打ち出すほか、その実現の努力を強めるよう求めている。

 

 そうした取り組みの成果を「見える化」するため、①商品別の「反森林伐採政策」の実施と開示②事業とサプライチェーンにおける森林伐採リスクとそのリスクの可能な限りの低減③「反森林伐採政策」について透明性の高いモニタリング、評価システムの設定④森林伐採リスクやその管理、反森林伐採政策の進展等を年次ベースで開示ーーという4つの共通要求を掲げている。

 

 このうち①の「反森林伐採方針」については、量的な評価、コミットメントを実現する期限、さらに当該企業だけでなく、サプライチェーン全体をカバーし、地域別の対応も求めている。