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環境NGOが三菱UFJフィナンシャル・グループに気候対策強化を求めた今春の株主提案、日本勢ではアセットマネジメントOne、野村アセットマネジメントなど6機関が賛成(RIEF)

2021-11-24 16:49:24

MUFJ2021キャプチャ

 

 環境NGOの気候ネットワーク(KIKO)は今年3月、他の環境NGO所属の個人株主3名とともに三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)に対して、パリ協定の目標に沿う投融資計画の決定・開示を求める株主提案を提出した。このほど、同提案に対する機関投資家等の内外投資家の賛否動向を公表した。それによると、提案に賛成したのは20機関・団体、反対は49機関・団体。日本の資産運用機関等の賛成表明は、アセットマネジメントOne、野村アセットマネジメントなどの6機関だった。

 

 KIKOらの提案は、6月29日の株主総会で否決されたが、議決権を有する株主約23%の支持を得た。KIKOでは機関投資家の議決結果を公開情報から調べ、これまでに確認できた69機関・団体を分析した。その結果、20機関・団体(系列会社による議決権更新の結果を含む)が賛成、49機関・団体が反対を表明したことがわかった。

 

 このうち結果を公表した日本の機関投資家は28機関・団体で、そのうち賛成した資産運用機関は、アセットマネジメントOne、みずほ信託銀行、野村アセットマネジメント、りそなアセットマネジメント、三井住友 DS アセットマネジメント、東京海上アセットマネジメントの6機関。

 

MUFGの株主総会に駆け付けたNGOの若者たち
MUFGの株主総会に駆け付けたNGOの若者たち

 

  日本の金融機関は資産運用機関も含めて、これまでは主要金融機関が提起された株主提案等に際しては、当該金融機関とのリレーションを配慮したうえで、賛否を決めるケースが通例だった。しかし現在は、資産運用会社を対象とした「Net Zero Asset Managers Initiative」等のグローバルな取り組みが進行しており、株主の議決権行使等においても資産運用機関自体の気候対応が求められる状況になっている。

 

 KIKOらの提案に賛成票を投じた日本の6機関は、自らの気候変動戦略の判断を優先させたとみられる。一方、反対票を投じた運用会社も多い。ニッセイアセットマネジメント、三井住友トラスト・アセットマネジメント、明治安田アセットマネジメント、大和アセットマネジメント、富国生命投資顧問等だ。

 

 判断の難しさを示すような対応となったケースもある。仏アムンディ系のリクソー投資は、仏親会社は提案に賛成、日本法人のリクソー投信(日本)は反対と分かれた。リクソーは昨年のKIKOによるみずほフィナンシャルグループへの株主提案でも親会社と日本法人の対応が分かれた。日本法人はリレーション重視で、同じグループでもそれぞれの運用責任者の判断に基づく決定をしたともいえる。

 

 グループ金融機関の対応でも相違がみられた。昨年のみずほへの株主提案に対しては、同じみずほグループのアセットマネジメントOneがKIKO提案を支持した。資産運用機関としての独自判断に基づいたとみられた。一方、今回のMUFGに対してはMUFGグループの三菱UFJ国際投信と三菱UFJ信託銀行はともに、KIKO提案に反対(MUFGの経営判断支持)した。

 

 海外勢では、仏アムンディ、オランダAPG、英リーガル・アンド・ジェネラル・インベストメント・マネジメント(LGIM)等が賛成した一方で、米ブラックロック、ゴールドマンサックス証券等はMUFG側についた。

 

 KIKOは「昨年のみずほへの提案を支持した議決権行使助言会社大手のグラスルイス(Glass Lewis)とインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)から、今年は支持を得られなかった。にもかかわらず複数の海外の投資家が株主総会前から本提案に高い関心を示し、結果として23%の賛成を得られたことは、気候変動リスクへの懸念およびパリ協定と整合させた事業経営を行う必要性への認識の高まりを示すもの」とコメントしている。

 

https://www.kikonet.org/info/press-release/2021-11-19/MUFG-proxy-voting-report1

https://www.kikonet.org/wp/wp-content/uploads/2021/11/MUFG-proxy-voting-result-1.pdf