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米国主導の「気候変動リーダーズサミット」、4月22日の「アースデー」に開催。パリ協定のNDC改定明示へ。2030年目標50~60 %削減か。日本も改定NDCの迅速強化を求められる(RIEF)

2021-01-29 16:49:39

Biden00113キャプチャ

 

 バイデン米政権は、各国首脳との電話会談で、気候変動対応を話し合う「気候変動リーダーズサミット」を4月22日に開くことを明らかにした。米国は同サミットの前に、パリ協定での米国の国別温暖化対策貢献(NDC)を公表する。改定NDCの内容は現時点では明らかではないが、EUが2030年の中間目標を55%削減(90年比)、英国が68%削減(同)としていることから、50~60%前後の高い水準を提示する可能性がある。

 

 米国の改定NDCの公表時期について、環境担当の大統領補佐官のジーナ・マッカーシー氏は記者会見で「気候サミットの前に公表できることを目指している。最もアグレッシブなNDCを開発しなければならない」と述べた。

 

 米国がオバマ政権時代にパリ協定で提出したNDCは、「2025年に26%~28%削減(2005年比)し、28%削減に向けて最大限努力する」という内容。仮に改定NDCの削減目標が欧州並みの50~60%削減になると、現行より倍増することになる。

 

 日本政府の現在のNDCは、2030年度に26%削減(2013年度比)というもの。菅首相は11月の国連気候変動枠組条約第26回会合(COP26)に向けて、改定する意向を示している。ただ、米国が4月に打ち出す改定NDCに歩調を合わせることは、現時点では、間に合わないとみられる。日本の現行基準は90年比でみると18%削減でしかなく、EU等に比べると、極めて低い。

 

 こうした状況を踏まえると、米国がEU並みのNDCの30年目標を4月に公表すると、先進国の中で、日本の水準の「劣後」ぶりが顕著になる。菅首相は気候変動問題での「リーダーシップ」の発揮を提唱しているが、「早期に「野心的なNDC」を示せないと、リーダーシップどころではない。

 

 米国が主導する「気候サミット」では、新型コロナウイルス対策対策等の経済的な議論も行うとしている。バイデン政権の気候変動特使のジョン・ケリー元国務長官は「COP26への道は、『約束』だけでは達成できない。実際の進展が重要。国内での対応がどれほど可能かどうかによって評価される」と指摘した。

 

 同氏は、温室効果ガス排出量割合が世界全体の30%を占める最大の排出国中国との協力についても言及。「中国の扱いは非常に重要。中国の排出量と、排出割合15%の米国、そしてEUが連携すると世界の排出量の55%以上を占める」と指摘。こうした米欧中の協力の重要性を強調した。

 

 その一方で、中国との貿易課題での知的所有権の扱い、南シナ海での中国のプレゼンスの問題等の摩擦案件があることも指摘。「これらの課題と気候変動問題を『トレード』するようなことはあり得ない」と断じた。中国との経済・外交問題と、気候変動問題の課題を仕分けして取り組む姿勢を示した。

 

 マッカーシー氏は、国内のエネルギー産業を、石油・ガス・石炭等の化石燃料中心から、再生可能エネルギーへのシフトを加速させる一方で、それらの再エネ機器については米国で製造されたものとし、太陽光パネルや機器等を他国からの輸入に頼るつもりはないと強調。「バイ・アメリカン」方式をとる考えを示した。中国製のパネル等の輸入を排除する考えを示したといえる。

 

https://www.whitehouse.gov/briefing-room/press-briefings/2021/01/27/press-briefing-by-press-secretary-jen-psaki-special-presidential-envoy-for-climate-john-kerry-and-national-climate-advisor-gina-mccarthy-january-27-2021/