一般社団法人環境金融研究機構 | Research Institute for Environmental Finance: RIEF

　米海洋大気局（NOAA）は、先月7月の世界の平均気温は、20世紀の平均15.8℃を1.21℃上回り、17.01℃だったと発表した。これまでの最高気温だった昨年7月の水準より0.03℃高く、14ヶ月連続で記録的な高温が続いているとした。一方、EUの気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス（C3S）」はすでに、7月の平均気温は昨年7月より0.04℃低かったとしており、米欧の気候機関の評価が食い違う形だ。両機関の違いは、暑さの影響でどちらかが計算ミスをしたわけではなく、観測データの違いによるとしている。そのうえで、世界の平均気温が最高値水準で推移しているとの認識では意見の一致を見ているとしている。

　NOAAによると、世界の陸上のほぼ14％が7月の最高気温を更新し、これまで７月の過去最高気温だった2023年7月の記録を5％以上上回った。一方の海面水温はほとんどの地域では平年を上回ったが、熱帯の東太平洋と南東太平洋の一部ではエルニーニョ現象が終わった影響などで平年を下回った。このため、7月の陸上の平均気温は14カ月連続で最高気温を更新したが、海洋水温は史上2番目の気温に留まり、2023年4月からの15カ月連続の最高気温連続更新の記録は終止符を打ったとしている。https://rief-jp.org/ct12/147784

　2024年年間では、すでに陸上で7カ月連続最高気温を更新し、海洋水温も6カ月連続となっていることから、観測史上で最も世界の平均気温が高い年になることはほぼ確実（77%の確率）で、トップ5に入る可能性はほぼ100％としている。

　地域別では、7月の気温は、アラスカ、南米南部、ロシア東部、オーストラリア、南極大陸西部を除く世界の陸地の大部分で平年を上回った。アフリカ、ヨーロッパ、アジアでは最高気温を更新し、北米大陸全体では過去2番目に高い気温だった。

　EUの「C3S」が先に発表した7月の世界の平均気温は16.91℃。過去最高気温だった昨年7月より0.04℃低く、同月として史上2番目に暑い気温とした。その結果、C3Sによると、昨年6月から続いていた世界の平均気温の連続記録は、13カ月連続で止まったとしている。両機関の観測値の違いは、集計するデータの違いと説明されるが、どの地域のデータの違いが大きく影響したのかは説明されていない。

　NOAAの発表が、アフリカ、ヨーロッパ、アジアで最高気温を更新し、北米大陸は過去2番目の気温だったとしているのに対して、C3Sの発表では、欧州南部や東欧、米国とカナダの西部、アフリカと中東、アジア、南極東部の大半地域で、通常の平均気温を上回ったとする一方で、欧州北西部や南極西部、米国や南米、オーストラリアの各一部地域などでは、平均近接か、あるいは、平均以下だったとしている。これらの地域内でどの地点のデータを評価対象にするかで、総合評価での微妙なずれが生じたのではと思われる。https://rief-jp.org/ct12/147784

　NOAAによると、気候学的には、7月は1年で最も暖かい月とされる。1月～7月の世界の気温は、同期間の20世紀の平均気温をすでに1.28°C上回っている。南米、ヨーロッパ、アフリカでは、すでに1年を通しても最も暖かい気温が続いている。

　7月の北半球の積雪量は、気温上昇の継続を反映して、観測史上11番目に少ない月だった。ユーラシア大陸と北米の積雪面積は平年を下回った（それぞれ11万平方㍄と6万平方㍄）。全般的に、カナダ西部、アラスカ南部、カナダ多島海の大部分で積雪は平年より少なかった。

　世界の海氷面積は849万平方㍄で、過去46年間で2番目に少なく、1991〜2020年の平均を109万平方㍄下回った。このうち北極海の海氷域面積は平年を33万平方㍄下回り、南極海の海氷域面積も平年を76万平方㍄下回り、過去2番目に少ない海氷面積だった。北極海のシロクマ、南極のペンギンたちの生活環境が狭まった影響が心配だ。

　7月には、1991年から2020年の平均を下回る7つの暴風雨が発生した。大西洋流域では7月に2つの熱帯低気圧が発生した。このうちベリル（Beryl）は記録上最も早いカテゴリー5のハリケーンとなり、トロピカル・ストーム・クリス（Tropical Storm Chris）はメキシコに上陸した。東太平洋では7月に3つの熱帯低気圧が発生し、西太平洋では2つの熱帯低気圧が発生した。両太平洋海域での暴風雨の発生は、年初から7月までは平年並みの活動だった。

https://www.noaa.gov/news/earth-just-had-its-warmest-july-on-record