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清水建設、ベトナム戦争で米軍によって汚染された枯葉剤汚染土壌の浄化実証に成功。汚染物質を95%削減。日本の技術で「戦争による環境負荷」を回復へ(RIEF)

2020-12-16 14:47:14

shimizu001キャプチャ

 

  清水建設は、ベトナムで米軍が散布した枯れ葉剤由来のダイオキシン汚染土壌を洗浄処理する実証実験を実施していたが、同社開発の汚染土壌の洗浄技術により汚染物質の95%超を除去できることを確認した。ベトナム、米国の両国からも評価を得た。清水は今後、両国が進めるベトナムのビエンホア空軍基地でのダイオキシン浄化プロジェクトへの参画を目指す。

 

 (写真は、ベトナムのビエンホア空軍基地内に設置した清水建設の土壌洗浄プラント)

 

 清水建設は、これまで日本で数百万㌧のダイオキシン処理実績がある同社開発の技術を使って、ベトナム環境処理技術センター(CTET)と共同で、ドンナイ省ビエンホア空軍基地において、2019年と20年の2回にわたり実証化を検証してきた。実証実験では約900㌧の汚染土壌を洗浄処理した。

 

 その結果、例えばダイオキシン濃度3500pptの土壌の場合、100ppt以下(除去率95%以上)にすることができたとしている。現在のベトナムのダイオキシン濃度基準は、都市部の居住用土地で300ppt、レクリエーション用土地で600pptなので、それを大きく上回る水準にまでクリーン化できることになる。

 

 同社の汚染土壌処理技術は土壌に水を加えた後、土壌を洗浄する手法。土壌を粒子径にふるい分けし、汚染物質を水に溶出させることなく、細粒分も取り除く。汚染物質が土の細粒分に付着する特性を利用した。同技術の使用で、従来の熱処理に比べて消費エネルギーが格段に減少する。

 

 また処理コストも同技術と熱分解処理を組み合わせることで、処理後の土壌中のダイオキシン濃度100ppt(1兆分の1)未満の場合は、熱処理だけの浄化に比べて対策全体のコストが平均85%程度に低減。600ppt(1兆分の1未満)の場合は平均65%程度と大幅な削減に成功できたとしている。

 

 設置した処理プラントは、1日8時間稼働の場合は30,000〜37,500m3/年、16時間稼働の場合は65,000~80,000m3/年の処理が可能。ビエンホア空港の土壌の場合、細粒分が30~35%含まれているので、土壌汚染を処理すると、65%~70%の土壌を再利用することができるという。細粒分とともに取り除いた有害物質については、別途、熱分解処理により無害化する。

 

 CTET等による実証実験プロセスの評価では、同社の土壌洗浄技術は、技術の信頼性、時間当たりの処理量、環境影響、消費エネルギー、コストともに優れているという判断を得たとしている。ベトナム戦争が残した環境負荷を、日本の技術によって、取り除くことにつながる。「ESGポジティブ」事業といえる。

 

https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2020/2020043.html