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中国・広東省の台山原発での放射性ガス漏洩問題、中国当局が「燃料棒の一部破損」を認める。ただ、「放射性物資の漏洩はない」と安全性を強調(各紙)

2021-06-17 11:43:25

taysan001キャプチャ

  各紙の報道によると、中国・広東省の台山原子力発電所で原子炉内の放射性希ガスが大気中に放出された問題で、中国生態環境省は16日、炉心の燃料棒の一部破損によって冷却中の放射性物質の濃度が上昇したと発表した。破損した燃料棒は「5本前後」という。ただ、同省は「放射性物質の漏れは起きていない」と説明している。

 (写真は、建設段階の台山原発の模様=NY Timesから)

 同省の傘下にある中国国家原子力安全機関(CNNSA)は、冷却水中に放射性希ガスがたまっているかどうかを検証しているとの声明を出した。同原発からの放射性希ガスの漏洩問題は、同原発の建設に加わったフランス電力(EDF)グループのフラマトムが米政府に「放射性物質による差し迫った脅威」に関する警告を出し、公になった。http://rief-jp.org/ct9/115241

 報道によると、放射性希ガスの濃度は5月末の時点で、フランスの基準で48時間以内の運転停止が必要とされる値の2倍に達していたとされる。これに対して、中国生態環境省は、台山原発1号機の燃料棒約6万本のうち、破損した「約5本」は許容値の0.25%(150本)を下回っており、「設計時に想定した範囲にとどまっている。原発周辺地域での放射線量には異常はみられない」として、安全面に問題はないことを強調している。

 また、原発の運転停止を避けるため、放射線量の上限値を調整したのではないかという疑問も出ているが、同省は「そうした事実はない」と否定した。

 米欧の原子力専門家の話として、燃料棒を保管するプールの周辺に放射性希ガスがたまることは、他の原発でもあり得ると指摘。ただ、そうした状況になるのは、燃料プールの設計、製造、管理が不十分なために生じると指摘している。またある専門家は「何かが起きたことは間違いない。ただ、原子炉の中で何が起きたのかはわからない」と警戒している。

 台山原発はフランスのEDFとフラマトムの協力で建設された。2基の原子炉を持つ。香港の南西部、約130kmの沿岸部に設置されている。

https://www.nytimes.com/2021/06/16/business/china-nuclear-reactor.html