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第6次エネルギー基本計画案および地球温暖化対策計画案の問題点(JUST: 日本のエネルギー・ミックスと温暖化対策数値目標を考える研究者グループ)

2021-09-30 20:30:28

asukaキャプチャ

 

 2021年7月4日、政府は第6次エネルギー基本計画素案を発表した。その後9月3日に、ほぼ同内容の第6次エネルギー基本計画案(以下、エネ基案)を公表し、10月4日までパブリックコメントを募集している。また、7月30日には、CO2以外の温室効果ガスの排出削減計画や海外オフセット[1]の活用を含めた地球温暖化対策計画案を発表し、同様にパブリックコメント募集中である。

 

 2011年の東京電力福島第一原発事故から10年を経て、第6次エネルギー基本計画は、当初、2018年の第5次エネルギー基本計画を見直す形で議論が行われていた。しかし、日本政府が「2050年カーボン・ニュートラル」「2030年に2013年比で温室効果ガス排出46%削減(50%削減の高みを目指す)」などを国際的にコミットしたため、この新たな中長期目標に合わせた具体的なエネルギー・ミックスの審議が求められた。すなわち、いわゆるバックキャストでエネルギー・ミックスの数値を決めるという方式がとられた。

 

 しかし、政府がかかげた「2030年46%削減(2013年比)」は、パリ協定の産業革命以降の温度上昇を1.5℃に抑制する目標(以下、1.5℃目標)に整合性があるものではない。また、CO2削減以外にも、エネルギー・ミックスなどに関してエネ基案には多くの問題点がある。

 

 一方、日本のエネルギー・ミックスおよびCO2排出削減数値目標に関しては、国内外のシンクタンクやNGOから、2030年に石炭火力ゼロ、2030年または遠くない時期に原発ゼロという想定のもとで、エネルギー起源CO2排出量を47%〜65%削減し、2050年に脱炭素を実現するようなシナリオ研究が複数発表されている[2]

 

 このようななか、本稿では、まず2で、政府の「2030年46%削減」の位置付けや評価に関して最新のIPCC評価報告書などに基づいて再確認する。3では、エネ基案と上記のシナリオ研究の一つである未来のためのエネルギー転換研究グループのシナリオ(グリーン・リカバリー戦略、以下GR戦略)と比較しながら、問題点や必要とされる追加的施策について具体的に明らかにする。4で結論を述べる。

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