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第10回サステナブルファイナンス大賞決定。大賞は太陽光発電敷地を草地化してクレジット創出を提案する「ナチュラルキャピタルクレジットコンソーシアム(NCCC)」。優秀賞、国際賞など含め合計12企業・団体が受賞(RIEF)

2024-12-27 13:30:10

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 一般社団法人環境金融研究機構(RIEF)が毎年選考する「第10回サステナブルファイナンス大賞」の受賞企業が決まった。大賞には、太陽光発電設備の敷地を草地化することで、大気中のCO2の吸収源としクレジットを創出する事業を提案した一般社団法人ナチュラル・キャピタル・クレジット・コンソーシアム(NCCC)を選出した。日本発の自主的カーボンクレジット(VCM)として仕組みを提案、CO2吸収だけでなく、同設備の地盤強化による土砂崩れ防止などの効果も期待できる。優秀賞にはみずほ銀行など3社、国際賞にスロベニア、地域金融賞に4機関、NGO/NPO賞に1団体、特別賞2機関・団体を選んだ。

 

 年明け1月20日に東京・内幸町の日本記者クラブ記者会見場で表彰式を開く。

 

 サステナブルファイナンス大賞は、同機構が2015年から実施している。サステナブルファイナンス、ESG等の分野ではもっとも初期に設立された顕彰制度である。

 

 その年の日本の環境金融・サステナブルファイナンス市場で活躍した金融機関、企業、関係機関等を、環境と金融の両分野の専門家が、定量評価と定性評価の両方に基づき選出する。業界団体や役所が認定する賞とは異なり、独立した専門家が6分野でのスコア化による定量評価と、審査員会議での定性評価との総合判断を踏まえ、合議で決定する。

 

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第10回サステナブルファイナンス大賞の選考企業・団体は次の通り

 

大賞:一般社団法人ナチュラルキャピタルクレジットコンソーシアム

 日本発のボランタリーカーボン市場(VCM)構築を目指す取り組み。太陽光発電設備の未利用スペースを草地化し、同土壌へのCO2固定化によるクレジット創出を目指す。VCMの課題であるデータの透明性と信頼性の向上のため、固定化した土壌有機炭素(SOC)の測定手法を確立、衛星画像解析やAI技術も活用してクレジットの品質向上を図る先駆性を評価。

 

優秀賞:みずほ銀行

社会課題解決のためのインパクト経営を支援するための資金調達として、国内金融機関初のインパクト預金を開発。銀行が融資で提供するインパクトファイナンスに充当するため、インパクト志向の資金を企業から調達する。

 

優秀賞:三井住友フィナンシャルグループ

水素バリューチェーン推進協議会(JH2A)による「日本水素ファンド」に出資、運営にも参画。水素普及による CO2 排出削減、日本社会・同企業への波及効果、民間資金のさらなる呼び込みなどのインパクト創出を目指す。

 

優秀賞:三菱UFJ信託銀行

寄付資金の運用による給付型奨学金ファンドの創出とともに、J-REIT 向けグリーンファイナンスを投資対象とするファンド運用も対象。信託機能を活用して投資家等の資金ニーズに合ったファンド商品を開発する取り組みを評価。

 

国際賞:スロベニア共和国

8月末に、資金使途を同国の社会分野とする総額500億円の初のサムライ国債(ソーシャルボンド)を発行。ESGサムライ債市場の利用拡大に貢献。投資家への積極的なIR活動を実施し、幅広い投資家層の需要を喚起した。

 

地域金融賞 :京都銀行

取引先のESG戦略と整合する7つの目標を設定、目標の達成状況に応じて金利引き下げのインセンティブを付ける「京銀サステナビリティ・リンク・ローン(Seven Targets )」の開発・展開。加えて、資金の充当先をESGローンとするサステナブル預金の提供。

 

地域金融賞 : 滋賀銀行

預金資金の充当先を、同行設立のエネルギー子会社等の再エネ事業等に振り向けるグリーン預金の提供。グリーン預金資金を地域のエネルギーの地産地消に充当することで地域での資金循環の仕組みを構築した。

 

地域金融賞 : 横浜銀行

法人や個人事業主を対象にしたソーシャル定期預金を開発、横浜市の SDGs の認定制度(Y-SDGs)の認証を取得した企業などへの融資につなげる仕組みの開発。地域の中小企業等のSDGsへの理解と貢献を、行政との連携によって後押し。

 

地域金融賞:兵庫県信用組合

SDGs 取り組みを目指す中小企業等に対し「SDGs診断ツール」を提供し、企業のSDGs宣言の支援を推進。またSDGsへの積極的な取り組みを行う事業者向けに「けんしんSDGsサポートローン」を提供し設備資金等を提供するなど、幅広いSDGs経営支援を展開。

 

NGO/NOP 賞:FoEJapan

日本の公的金融機関の国際協力銀行や日本貿易保険等が途上国で引き起こす環境・社会・人権面の影響等の調査・提言活動のほか、アジアの一般住民の声を踏まえ、石炭火力の早期閉鎖や、原発、CCS、アンモニア事業等の問題点の提言等も展開している。

 

特別賞 : SMBC日興証券

海外発行体による日本国内での円建て債券(サムライ債)発行市場で、外国政府によるESG サムライ国債の普及に尽力した。本大賞の国際賞でも 2022 年フィリピン、23 年インドネシアに続き、本年はスロベニアのソーシャル国債発行を支援した。

 

特別賞:東京コミュニティパワーバンク

金融機関に預けたお金が、どこにどう使われているかが預金者にはわからないとして、2003年に市民が自ら資金を拠出したおカネを地域に回す非営利の市民団体を立ち上げた。20年間で116件6億円強の投融資を実践。全国に芽生えたNPOバンクのネットワークを支えた。25年に活動を終了する。

 

審査員は、魚住隆太・魚住サステナビリティ研究所代表、佐藤泉・弁護士、白井さゆり・慶應義塾大学教授、末吉竹二郎・国連環境計画金融イニシアティブ特別顧問、高田英樹・グリーンファイナンスネットワーク事務局長、玉木林太郎・国際金融情報センター理事長、鳥谷礼子・預金保険機構運営委員会委員、藤井良広・環境金融研究機構代表理事、堀江隆一・CSR デザイン環境投資顧問代表取締役社長、宮崎知己・元朝日新聞記者の10 人で構成しました。(環境金融研究機構は非営利団体です)

問合せ先 : 一般社団法人環境金融研究機構 藤井良広 携帯090-8728-2311 Email <green@rief-jp.org>