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出版『実務解説・エクエーター原則/赤道原則』(みずほ銀行・三菱東京UFJ銀行・三井住友銀行、金融財政事情研究会)

2016-03-24 22:42:32

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 国際プロジェクトファイナンスにおける環境・社会リスク管理基準である「エクエーター原則」についての日本で初の解説書である。ユニークなのが、著者がみずほ、三菱東京UFJ、三井住友の3メガバンクとなっている点だ。

 

 日ごろ内外で競い合う3メガバンク。しかし、エクエーター原則の普及・啓蒙という点では、共通の利害を持つ。国際的な自主基準である同原則の運用に関しては、「日本勢」として肩を並べることで、国際的な金融の世界でも存在感を示すことができるというわけだ。

 

 「実務解説」とタイトルに振っているように、読者は金融機関でプロジェクトファイナンス業務を担う第一線のバンカー向けである。したがって、内容は10項目に及ぶ原則の解説と、それに基づく実務的な手順などの“硬い紹介”が主だ。そこを補うためか、随所に、執筆者たちの「柔らかなコラム」があり、厳密なルール遵守を目指す人々の、工夫と横顔を垣間見ることもできる。

 

 エクエーター原則は国際プロジェクトファイナンスにおける環境・社会配慮の手順だが、基本点は、国内の再生可能エネルギーやインフラ事業等における環境・社会リスク管理とも共通する。欧米の金融機関の中には、同原則の国内事業への適用を宣言したところもある。最近は日本の地銀等でも、プロジェクトものの投融資が増えているだけに、同原則の精神を金融現場に根付かせる意義は大きいといえる。

 

 

『実務解説 エクエーター原則/赤道原則~プロジェクト融資の環境・社会リスク管理~』

(みずほ銀行・三菱東京UFJ銀行・三井住友銀行、金融財政事情研究会。2016年3月15日、本体価格2600円)

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