HOME1. 銀行・証券 |世界のサステナブル投資総額 2年前に比べ25%増の22兆8900億㌦に。日本はこの間、67.6倍の急成長で4736億㌦に。非営利団体GSIAのグローバル調査(RIEF) |

世界のサステナブル投資総額 2年前に比べ25%増の22兆8900億㌦に。日本はこの間、67.6倍の急成長で4736億㌦に。非営利団体GSIAのグローバル調査(RIEF)

2017-03-30 23:18:29

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   サステナブル投資の非営利団体「Global Sustainable Investment Alliance (GSIA)」は、2016年のサステナブル投資のグローバル動向をまとめた。投資総額は22兆8900億㌦(2400兆円)と2年前の2014年調査時より25.2%増加(年率換算11.9%増)した。地域別ではこの間、日本が70億㌦から4736億㌦へ67.6倍と急成長したことが目立つ。

 

 GSIAはサステナブル投資について、環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)の非財務要因を投資ポートフォリオの選別とマネジメントの際に考慮する投資アプローチと定義している。これまでSRI(社会的責任投資)とか、責任投資(Responsible Investment)などと呼ばれたものと同義である。

 

 2016年の前回調査(2014年)比伸び率の25.2%増は、2014年の伸び率(2012年比)の62%増からは低下した。年率でみると16年は11.9%増。最も投資額が大きかったのは欧州で12兆400億㌦(年率5.7%増)、次いで米国8兆7230億㌦(同15.2%増)、カナダ1兆860億㌦(22.0%増)など。

 

  サステナブル投資総額のうち過半の52.6%は欧州で、次いで米国が38.1%。米欧で全体の9割を占める。次いでカナダ4.7%、オーストラリア・ニュージーランド2.3%、日本2.1%、日本以外のアジア0.2%となっている。

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 総投資額に占めるサステナブル投資の比率を地域別にみると、欧州は52.6%増で前回調査より若干下がったが、依然、過半数以上がESGを投資要因に組み込んでいる。次いでオーストラリア・ニュージーランドが50.6%と、前回の16.6%から大幅増で過半数に達した。米国は21.6%、日本は総額の伸びは急だったが、投資全体での比率は3.4%とまだ限られている。グローバル平均は26.3%で、前回調査(30.2%)より3.9%減った。

 

 サステナブル投資には、特定の投資対象を除外するネガティブ・スクリーニングや、ポジティブ・ベストインクラス・スクリーニング、規範ベース・スクリーニング、ESG統合化などの多様な手法がある。手法別の取り組みでは、タバコ産業やアルコール、ギャンブル産業などを除外するネガティブ・スクリーニングの取り組みが15兆200億㌦と最も多く、次いでESG統合(10兆3700億㌦)、企業エンゲージメント・株主行動(8兆3700億㌦)の順。

 

 各地域の取り組みには特色がある。欧州は伝統的にネガティブ・スクリーニングが主要になっており、ESG統合は米国、カナダ、オーストラリア・ニュージーランド、日本以外のアジアが中心。日本は企業エンゲージメントと株主行動による取り組みが中心。

 

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    日本のサステナブル投資の数字は、非営利団体の「日本サステナブル投資フォーラム(JSIF)」が実施したアンケート調査に基づく。2014年調査以降に、日本の市場では、金融庁などがスチュワードシップコードとコーポレートガバナンスコードを出し、金融機関に投資先企業のESG取組等へのエンゲージメントを奨励したことが好影響につながったといえる。

 

 日本のサステナブル投資総額のうち、政策に後押しされたエンゲージメント行動は最も多い2896億㌦(61%)を占めた。次いでESG統合が1200億㌦(25%)、規範ベース・スクリーニング560億㌦(12%)、ポジティブ・ベスト・イン・クラス・スクリーニング251億㌦(5%)となっている。ただ、欧州で主流のネガティブ・スクリーニングがほとんどないのも日本の特徴といえる。

 

 このように、同じサステナブル投資と言っても、投資手法にかなりの違いある。また、データはすべてGSIA加盟の各非営利団体による投資保有機関や投資運用機関への自主的なアンケート結果を足し合わたもの。それだけに、資金変動の正確性よりも、サステナブルな資金の流れのトレンドを把握する調査といえそうだ。

 

http://www.gsi-alliance.org/wp-content/uploads/2017/03/GSIR_Review2016.F.pdf

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