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資料:銀行セクターにおける気候関連リスクの 統合強化に向けて(IGES)

2017-08-08 16:44:51

IGESキャプチャ

 

 (要旨)商業銀行は、深刻な気候関連リスクに直面する可能性があるが、当該リスクは、リスクマネジメントや財務会計において適切に盛り込まれていない状況である。したがって、銀行保有資産における財務影響評価を通じて、潜在的な損失を最小限に抑えることが重要である。一方で、現行の気候関連情報開示基準では、温室効果ガス(GHG)排出量や持続可能性指標といった気候情報の取り扱いが主であり、気候関連リスクが及ぼす財務影響については重点が置かれていない。

 


 国際的な会計基準に関する議論の中で、気候関連リスクと銀行が晒される従来型リスク間の関係性を明らかにし、また、気候関連リスクを主流化することにより、従来型リスク評価を強化することが求められる。また、これを実現する上で、バーセル合意(BaselAccords)に基づく国際銀行規制を監督するバーゼル銀行監督委員会(以降「Basel Committee on Bank Supervision:BCBS」)、および、主要7カ国(G7)のタスクフォースである気候関連財務情報開示に関するタスクフォース(以降「Task Force on Climate-related Financial Disclosures:TCFD」)の連携強化が必要不可欠である。

 


 本ポリシー・ブリーフでは、銀行貸出に係る減損会計の観点から、国際財務報告基準(以降「International Financial Reporting Standard:IFRS」)が気候関連リスクを盛り込む際の基礎となり得ることを提言する。さらに、本件実施に際し、銀行貸出減損に係るIFRS第9号が適用する予想信用損失(以降「Expected Credit Loss:ECL」)モデルを活用し、気候関連リスクを「将来見通しに関する情報(forward-looking information)」の中で気候関連リスクを考慮することが一つの道筋であると考える。

 

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執筆者:千葉洋平、森尚樹、清水規子(IGES:公益財団法人地球環境戦略研究機関)

 

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