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新生銀行、グリーン、ソーシャル、サステナビリティの3ファイナンスのフレームワーク。「金融弱者」のアクセス確保や、社会資本を持続可能にする「資金循環の創出」目指す(RIEF)

2020-05-13 17:10:27

Shinsei1キャプチャ

 

 新生銀行は、グリーン、ソーシャル、サステナビリティの3分野のファイナンスについて、同行独自のフレームワークをまとめた。同行の投融資活動が、内外で定められるグリーン&サステナブルファイナンスに関わる原則、ガイドライン等と整合的になるよう整備した。

 

 新フレームワークは、新生銀行が顧客向けに実行するファイナンスのうち、その資金使途がグリーンやソーシャル等のESG関連になるファイナンスについて、適格クライテリアや選定プロセスなどの社内手続きを明確化したものだ。それらは、次の項目で構成される。①新生銀行のサステナビリティ方針②適格クライテリアの設定③適格プロジェクトの選定基準とプロセス④業務分掌⑤3分野のファイナン ス実行に際しての前提条件。

 

 ①については、同行はこれまでも社内規程の「グループESG経営ポリシー」で、ESG投融資の推進によって持続可能な社会の形成に貢献することを掲げている。今回のフレームワークでは、「経営上の重点課題(マテリアリティ)」として、改めて「社会・環境課題の解決に向けた役割」 を掲げた。

 

 具体的な重点課題として、従来の金融サービスでは満たされていない顧客層(金融弱者)向けに顧客のニーズに合わせてサービスを提供する「金融アクセス」への取り組みのほか、再エネやインフラ等の社会資本を持続可能にするために資金循環を促す金融ソリューションとして「社会の適切な資金循環の創出」の提供をあげている。

 

 こうしたサステナブル業務を担う組織として、2020年2月に、社会課題に対してポジティブなインパクトをもたらす投融資先や事業へのファイナンス推進を目指す「サステナブルインパク ト推進部」を立ち上げている。https://rief-jp.org/ct1/98716

 

 同部では、事業活動を通じて、社会へ与える「正のインパクト」を増やし、「負のインパクト」を低減することで、持続可能な社会の形成に貢献することと、同行自身の持続的な企業価値創出を高めることを目指している。今回のフレームワークも、同部の具体的な取り組みの一環として位置付けている。

 

 ②では、グリーンファイナンスの適格クライテリアとして、グリーンボンド原則、グリーンローン原則、サステナビリティ・リンク・ローンガイドライン等の既存の市場基準との整合性を図るとともに、明確な環境改善効果が認められることを前提にしている。

 

 ソーシャルファイナンスも基本的に市場基準を踏まえる一方で、「社会的に不利な立場にある人及び基本的サービ スを十分に受けられていない人々の定義は、それぞれの国・地域の文脈によって異なることから、プロジェクトが対象とする国・地域の社会的・経済的状況の実態を考慮し妥当性を確認する」としている。

 

 対象プロジェクトが抱える潜在的に重大な環境・社会的リスクの有無を評価するとともに、それらのリスクがある時は、緩和策の適切性や本来のプロジェクトのポジティブなインパクトと比べて、リスクが過大でないことを個別評価する、としている。

 

 個別プロジェクトに関する潜在的リスクの評価では、「赤道原則(エクエーター原則)」に即した環境・社会リスク評価プロセスを適用する。同原則適用対象外のプロジェクトについては、サステナブルインパクト推進部の「サステナブルインパクト評価室」が適用チェックリストと業種別チェックリストを使って適切性を評価するとしている。

 

 プロジェクトの除外リストは、「グループESG経営ポリシー」での規定を踏襲する。①反社会的勢力関連の取引②法令違反、または違法行為や脱法行為を目的とする取引③公序良俗に反する取引④クラスター弾製造企業⑤石炭火力発電ーーの5分野だ。これらはいずれも「新規取引の原則禁止」対象としている。

 

 このうち石炭火力発電は超々臨界圧石炭火力(USC)などは、OECD公的輸出信用アレンジメントなどのガイドラインを参考に、個別判断としている。同行のフレームワーク全体に対しては、日本格付研究所(JCR)が妥当性を評価する第三者意見を付与している。

https://www.shinseibank.com/corporate/news/pdf/pdf2019/200129_Sustainableimpact_j.pdf

https://www.jcr.co.jp/download/2b2977e6661b53be517b4c7bed747fb294b5782799b1491b9e/20d0107.pdf