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三井住友フィナンシャルグループ、2040年度に石炭火力関連融資残高ゼロの目標を開示。みずほの目標より10年早く達成を宣言。ただし、プロジェクトファイナンス案件に限定(RIEF)

2020-09-01 16:30:18

SMBC2キャプチャ

 

 三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)は「2020TCFDレポート」を公表した。この中で石炭火力発電向けファイナンスについては2040年度を目途に貸出残高ゼロにするとの目標を開示した。石炭火力発電向け累積融資残高をゼロとする目標年を設定したのは、みずほフィナンシャル・グループに次ぐ。

 

 同グループは4月に公表した「SMBCグループ サステナビリティ宣言」で、石炭火力発電向け融資については、新設事業への融資は原則実行せず、超々臨界圧石炭火力(USC)などの案件や、改定前からの支援案件については慎重に対応する(例外)との方針を示していた。

 

 また2020年度から29年度までの10年間で総額10兆円のグリーンファイナンスの実行を目標とするほか、傘下の三井住友銀行の事業活動から生じるCO2排出量を29年度までに30%削減(18年度比)とするなどのKPI(主要業績指標)を掲げた。TCFDレポートではこれらの方針、目標が盛り込まれた。

 

SMBC0001キャプチャ

 

 加えて、今回、石炭火力発電向け融資残高ゼロのメドとして2040年度を目標とする方針を示した。3メガバンクの中で明確に石炭火力向け融資ゼロの目標を定めているのは、みずほフィンシャルグループ。2030年度までに50%削減(2019年度比)とし、2050年度には残高ゼロとして設定している。(同グループの石炭火力向け与信残高は2019年度末で2995億円)。

 

 一方のSMBCは、みずほより10年早い2040年度に残高ゼロを達成するとしている。ただし、対象とする融資はプロジェクトファイナンス案件とし、CCSなどのカーボンリサイクル技術を使った案件等は含めないとしている。SMBCは現状の石炭火力向け与信残高については開示していない。みずほの目標には、プロジェクトファイナンス限定とは明記していない。

 

シナリオ分析による物理リスクと移行リスクの推計値
シナリオ分析による物理リスクと移行リスクの推計値

 

 SMBCのTCFDレポートには、すでに開示されている低炭素社会への移行に伴い、銀行が抱える保有債権等での物理リスクと移行リスクを対象としたシナリオ分析の試算結果も再掲されている。

 

https://www.smfg.co.jp/news/j110274_01.html

https://www.smfg.co.jp/sustainability/materiality/environment/climate/pdf/tcfd_report_j.pdf