HOME1. 銀行・証券 |三井住友銀行、法人向け「グリーン預金」の新規取り扱いで、「導入預金」懸念を排除する措置明確化。預金と融資の紐づけ遮断、資産選定は預金企業ではなく銀行が実施。金融庁も了解(RIEF) |

三井住友銀行、法人向け「グリーン預金」の新規取り扱いで、「導入預金」懸念を排除する措置明確化。預金と融資の紐づけ遮断、資産選定は預金企業ではなく銀行が実施。金融庁も了解(RIEF)

2021-03-29 08:35:12

SMBC002キャプチャ

 

 三井住友銀行は、再生可能エネルギー事業等を融資先とする法人向け「グリーン預金(環境預金)」の取り扱うが、同預金のグリーン性を担保しつつ、金融庁から「導入預金」とみなされないための措置をまとめた。①預かる預金で新たなグリーン融資をするのではなく、実行済みのグリーン適格事業向け融資を対象資産にする②対象資産の選定は預金企業ではなく、三井住友銀行が選定する、としている。

 

 同行はグリーンファイナンスの一環として、国内外の企業や金融機関、中央銀行等を対象としたドル建てのグリーン預金(定期預金)の設定を打ち出した。ただ、金融庁はこれまで預金先の資金使途を定めた融資は「導入預金」となる懸念があるとの判断を示してきた。http://rief-jp.org/ct1/111731?ctid=67

 

 導入預金とは、預金者が上乗せ金利等の「特別の金銭上の利益」を得る目的で銀行に預金し、その銀行に対して、指定する特定の第三者への融資を約束させる行為をいう。銀行と企業間の不透明な取引関係にならないようとの判断だ。そうした取引は「預金等に係る不当契約の取締に関する法律」で禁じられている。

 

 実際に、金融庁はかつて、地方銀行が地球温暖化問題に資することを目的に集めた預金(個人向け)資金を、温暖化対策に取り組む企業や事業向けに融資資金の原資にする先駆的なグリーンファイナンス金融商品に対して、導入預金の懸念があるとして、販売2か月で事実上の取り止めにさせた経緯がある。

 

 三井住友銀行は、今回のグリーン預金が同様の懸念を招かないよう、①で預金と融資の切り離しを明確にするほか、②で融資先事業の選定は預金企業の指示を受ける形ではなく、同行が「適格ガイドライン」に基づいて、同行の裁量で決定するとした。同行の適格ガイドラインでは、①再エネ事業②エネルギー効率化等、5つの分野を選定している。

 

 グリーン預金の資金使途先は、複数の対象資産で構成されたグリーンアセットのポートフォリオに対して充当する形とする。特定の資産に預金がひもづく形をらないことで、懸念に配慮している。仮にグリーン預金残高が、グリーンアセット残高を上回ると、上回った分は通常の外貨預金として運用し、預金者の顧客にも通知するとしている。

 

 逆にグリーン預金残高が、グリーンアセット残高を下回る場合は、差額分は同行が(市場調達などで)資金手当てをする。ただ、通常、複数の融資を見越した調達を行っていることから、個別の融資ごとにグリーン預金の不足分を市場調達する必要はなく、既存の資金調達プールの中で運営するとしている。

 

 同行はグリーン預金に取組む主なメリットとして、①顧客企業の脱炭素社会実現に向けたニーズに応える金融商品を提供②顧客企業の外貨運用ニーズに応え、同行自体の外貨調達手法を多様化する③ESGに関心を持つ企業との取引や関係構築に資する④グリーン預金を通じて顧客と連携しサステナビリティへの取組みを推進する⑤これらを通じて、社会への貢献と将来的な企業価値向上につなげる――としている。

 

https://www.smbc.co.jp/news/j602247_02.html