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みずほフィナンシャルグループ、環境・社会への基本方針改定。石炭火力事業向け投融資ゼロ目標を2040年度に10年前倒し。大規模農園やパームオイル事業向け基準も強化(RIEF)

2021-05-14 12:23:03

mizuhoキャプチャ

 

 みずほフィナンシャルグループ(FG)は13日、気候変動やサステナブルビジネス行動等の基本指針を改定した。気候対応では、石炭火力発電事業向けの投融資残高ネットゼロ目標を、現行より10年前倒し、2040年度に改定したほか、海外での大規模農園向けでは「森林破壊ゼロ」方針等の設定を求め、パームオイル事業では対象農園すべてにRSPO認証取得を求めるなど、「気候対応の次」のサステナブル課題への基準も整理したのが特徴だ。

 

 気候対応では、温室効果ガス排出量の多い石炭火力発電事業向けの投融資について、現行の「2030 年度までに2019年度比50%削減」方針を継続するが、その後の「残高ゼロ」目標を従来の2050年度から、2040年度に10年前倒しする。政府の「2050年ネットゼロ」に先行することを目指す。

 

 石炭火力については、従来は投融資対象外とする新規建設事業の例外として、「運用開始日以前に支援意思表明済みの案件は除く」としていた。今回、同規定を削除した。また海外で多い石炭採掘を山ごと露天掘りする「Mountain Top Removal(山頂除去)」方式での炭鉱採掘事業は投融資の対象外と明記した。

 

 石炭採掘事業 (一般炭)では、新規事業への投融資は行わないが、既存の炭鉱採掘を資金使途とする案件で、パリ協定と整合的な方針を表明している国の エネルギー安定供給に資する案件に限り、慎重に検討 の上、対応する可能性があるとの例外を設定している。

 

 石油・ ガス事業では、北極圏での開発や、オイルサンド、シェールオイル・ ガス開発への投融資について、「適切な環境・社会リスク評価を実施する」と条件を付与した。ただ、主要米銀等は北極圏開発を投融資の対象外としており、投融資の可能性を残した点で、環境NGO等から注文がつく可能性もある。

 

 大規模水力発電については、主に海外での事業が想定される。今回新たに対象セクターとして追加した。投融資の条件として、環境に及ぼす影響および先住民族や地域社会とのトラ ブル等に十分に注意を払い取引判断をするほか、同水力発電を資金使途とする投融資等の場合は、取引先に Hydropower Sustainability Assessment Protocol に基づく環境・社会アセスメントを推奨するとした。

 

 また投融資ポートフォリオの気候リスクを把握するため、TCFDが提案したシナリオ分析の分析セクターを、これまでの電力、石油・ガス、石炭(いずれも国内事業)から、それぞれの海外事業にも対象を拡大するほか、新たに自動車(内外)事業も評価対象に加える。シナリオ分析結果については、6月に公表する「TCFDレポート2021」(6 月発行)で開示する。

 

 バリューチェーンにおける 環境・社会リスクへの対応強化として、気候変動のほかに、生物多様性、人権への対応強化を盛り込んだ。この中で、東南アジア等で生態系破壊等が指摘される大豆等の大規模農園を新たに「対応セクター」と位置付け、投融資先に「森林破壊ゼロ、泥 炭地開発ゼロ、搾取ゼロ」(NDPE: No Deforestation, No Peat and No Exploitation)等の環境・人権への配慮を定めた方針の策定や、地域住民等への「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意」(FPIC: Free, Prior and Informed Consent)の尊重を求めることを明記した。

 

 パーム オイル事業向けでは、対応方針の厳格化措置として、 全ての農園に対し、RSPO認証取得を求め、 RSPO認証取得に期間を要する場合は、充足に向けた期限付きの計画策定を要請する、とした。 RSPO認証の取得予定のない場合は、RSPO認証と同 水準の対応を求めるほか、対応状況にかかる定期的な報告を求め る。充足に期間を要する場合は、充足に向けた期限付きの計画策定を要請する等と、詳細に規定した。

 

https://www.mizuho-fg.co.jp/release/pdf/20210513release_jp.pdf