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三菱 UFJ フィナンシャル・グループ(MUFG)、投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出量を2050年までにネットゼロ目標設定。Scope3も対象。自社排出量は2030年までにゼロ(RIEF)

2021-05-18 11:28:07

MUFG001キャプチャ

 

  三菱 UFJ フィナンシャル・グループ(MUFG)は、投融資ポートフォリオからの温室効果ガス排出量のネットゼロ化を2050年までに達成すると宣言した。同時に自社の活動からの排出量についても2030年までにネットゼロとする。ポートフォリオの対象排出量はサプライチェーン等のScope3を含める。また、国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)による「Net-Zero Banking Alliance(NZBA)」への参加も決めた。

 

 MUFG は、これらの取り組みを「カーボンニュートラル宣言」として打ち出した。投融資ポートフォリオのネットゼロ実現に向けて、2030年の中間目標を2022年度中に設定する。目標の達成に向けた進捗状況は毎年、開示・報告する。NZBAへの加盟はこのコミットメントの一環と位置付けている。

 

 気候変動目標の達成をMUFGの経営戦略に組み込み、サステナブルファイナンスを2019年~2030年で35兆円展開するほか、ファイナンスポリシーの継続的な見直し、石炭火力発電関連融資残高の縮小等を進める。石炭火力向けのプロジェクトファイナンス残高は、2030年度に2019年度比半減、2040年度ゼロとする。これらの目標達成のために投融資先へのエンゲージメントを進める。ただ、コーポレートファイナンスによる石炭関連投融資は対象に含めていない。

 

 MUFGは4月に、石炭火力関連事業向け投融資等への対応を定めた環境・社会ポリシーフレームワークを改定し、石炭火力へのファイナンスについては、従来の新規事業の停止に加えて、既存発電設備の拡張にも投融資をしないことを明記している。http://rief-jp.org/ct1/113660?ctid=67

 

 今回の宣言では、MUFG自体のGHG排出量を2030年までにネットゼロとする第一弾として、2021年度に、銀行・ 信託・証券の国内拠点での使用電力を100%再エネ電力に切り替えることも示した。対象はScope1と同2。再エネ電力の市場拡大を目指して1000億円規模の投資ファンドを設立、グリーン電力の「創出から購入までを一気通貫」で対応するとしている。再エネに加え、水素・次世代エネルギー、カーボンリサイクル等のイノベーション技術の実現を金融面から支援するとした。

 

 グループ業務純益の1%相当を社会貢献活動に拠出する寄付プログラムを活用し、 気候変動に関連するイノベーション技術の支援や植林等のカーボンオフセットも推進する。今年1 月から、Eco通帳の新規・切り替え件数に応じて約10万本の植樹と10年間の育成費総額5億円の寄付プログラムを実施している。

 

 これまで、環境・社会分野の経営方針を定める「MUFG環境方針」は経営会議で決めていたが、迅速な見直し等を実施するため取締役会での決定事項に変えたほか、カーボンニュートラル実現に対する経営責任を明確にするため、2021年度から役員報酬 にESG要素を反映させる、としている。

 

 MUFGは環境NGO等からパリ協定の目標に沿った投融資を行うための計画の策定と開示を求める株主提案を受けており、今回の「カーボンニュートラル宣言」はそうした提案も意識して公表されたとみられる。http://rief-jp.org/ct7/112489?ctid=67

 

https://www.mufg.jp/dam/pressrelease/2021/pdf/news-20210517-003_ja.pdf