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三菱UFJ銀行。不動産の社会的インパクト評価の「インパクトKPI」リストを開発。ポジティブ、ネガティブの両分野で100項目超。「社会的インパクト不動産」への投資促進目指す(RIEF)

2024-02-29 17:26:46

MUFGキャプチャ

 

  三菱UFJ銀行は28日、インパクト不動産(社会的価値を創出する不動産)への投融資を評価するための重要業績指標(KPI)リストを作成した。オフィスや商業施設などの不動産への投融資時に、防災や人口減対策などの社会的影響を評価することを目指す。リスト化したKPI項目は、ポジティブ、ネガテ ィブ両方の影響を評価する100以上に及ぶ。不動産投資を行う投資家が対象とする物件の社会的価値を特定できるほか、投融資後のインパクトの変化等のモニタリングにも活用できるとしている。

 

 インパクト不動産のKPI作成には、大和不動産鑑定が協力した。KPIの信頼性については、 CSR デザイン環境投資顧問が、国連環境計画・金融イニシアティブ( UNEP FI)が策定した「ポジティブ・インパクト不動産投資フレームワーク(PI RE)」「インパクト・レーダー」等を元に国土交通省が策定した「『社会的インパクト不動産』の実践ガイダンス」への適合性についての第三者意見書を付与した。

 

 作成されたKPIリストは、ポジティブ・インパクト(PI)項目とネガティブインパクト項目(NI)に分かれる。PIについては、UNEPFIが示すインパク ト・レーダーの⾃然環境(Natural environment)に関する項⽬をベースに設定している。同PIの KPI(アウトプット)は、国際的な不動産ファンドのベンチマークであるGRESB等も踏まえているという。

 

 NIについては、UNEP FIのPI REフレームワークおよびインパクト・レーダーの両方を参考にし、今回のKPIリストのフレームワークを活用して投融資を検討する⽇本国内の不動産投融資で想定されるネガティブ・インパクト項⽬を設定している。 国交省ガイダンスでも、ネガティブ・インパクトが特定された場合は回避・低減 のための検討が必要としている。

 

 三菱UFJ銀行は、今回の取り組みについて、「不動産には、企業等が中長期間のマネジメントを通じて、ヒト(利活用者)、地域(周辺の土地や地域社会)、地球(地球環境)をめぐる多様な課題解決に貢献することで、社会的インパク トを創出し、地球環境保全も含めた社会の価値創造に貢献することが期待される」と位置付けている。その一方で、現実は、こうした社会的インパクトが不動産価値に十分に反映されているとは言えない、として、インパクトKPIの重要性を強調している。

 

 不動産の社会的価値については、東京圏を中心にビジネスユースを高めるための再開発事業が展開されている。その一方で、東京・外苑再開発問題のように、歴史的な人々の憩いとしての都市機能の維持との両立、都市での生態系・自然保全の場の確保等の問題が指摘されている。従来のコミュニティとの連続性の確保や、高層ビルの職場等で働く従業員の「働き易さ」等を不動産価値にどう反映させるか等も問われている。

 

 三菱UFJ銀行は「(開発した)リストを活用した『社会的インパクト不動産』 への資金供給を通じ、日本国内の不動産分野での様々な課題解決を推進することで、不動産の価値向 上と企業の持続的成長に、より一層貢献していきたい」としている。

https://www.bk.mufg.jp/info/pdf/kpi_formulation.pdf

https://www.csr-design-gia.com/info/pdf/Opinion_MUBK.pdf

https://www.unepfi.org/wordpress/wp-content/uploads/2019/06/PI-Real-Estate-Investment-Framework_Japanese.pdf