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国内の5金融機関(大和投資信託、三菱UFJフィナンシャルグループ、みずほ銀行、野村、住友信託銀行)がクラスター爆弾製造企業に投融資(JCBL)

2011-05-27 12:17:55

(JCBLのサイトから):オランダの「パックス・クリスティ(IKV Pax Christi)」及びベルギーの「ネットワーク・フランデーレン(NetwerkVlaanderen)」が5月25日、クラスター爆弾の製造企業[i]に対する金融機関(政府系ファンド、年金基金含む)の投資状況についてまとめた報告書『クラスター爆弾への世界の投資:共通した責任』をブリュッセルで、発表しました[ii]。

日本の金融機関

同報告書では、下記の5つの日本の金融機関がクラスター爆弾製造企業に投融資しており、総額では約4億ドルに上ることがわかりました。

・         大和投資信託(Daiwa Asset Management)

・         三菱UFJフィナンシャルグループ(Mitsubishi UFJFinancial Group)

・         みずほ銀行(Mizuho Bank)

・         野村(Nomura)

・         住友信託銀行(Sumitomo Trust & Banking)

報告書では、クラスター爆弾製造企業への投融資の実態に基づいて、次の通り金融機関の格付を行っています。

★「名誉リスト(Hall of Fame)」: クラスター爆弾製造企業への投融資を禁止している機関

★「不名誉リスト(Hall of Shame)」: クラスター爆弾製造企業へ投融資している機関

★「次点リスト(Runners-up)」: 取り組みは進めているものの未だ十分ではない機関

日本の金融機関では、昨年「不名誉リスト」に入っていた国際投信投資顧問および三井住友銀行が今回は抜けた一方、野村、住友信託銀行が新たにリストに加わりました。

また住友三井フィナンシャルグループ(SMFG)は、2010年のCSRレポートの英語版においてクラスター爆弾の製造を目的とした投融資を禁止する方針を記載したことが評価され「次点リスト」に近い金融機関として取り上げられました[iii]。しかし今回の報告書では、今後この方針を投資銀行業務や資産運用業務に拡大させ、クラスター爆弾を製造する企業自体を投融資の禁止対象としない限り、「次点リスト」或いは「名誉リスト」入りすることはできないと明言しています。

世界の金融機関

★「不名誉リスト」

世界でクラスター爆弾の製造企業と明確な金融取引がある金融機関は166あり、投融資の総額は390億ドルに上ることが明らかになりました。昨年の不名誉リストには146機関が掲載されていましたが、2011年のリストでは51機関が抜け、新たに71機関が加わりました。

不名誉リストに記載されている金融機関の所属国は15カ国で、リストにある金融機関が多い国順にアメリカ73機関、韓国26機関、中国21機関、英国12機関、フランス・ドイツ・日本がそれぞれ5機関となっています。尚、英国、フランス、ドイツ、日本はクラスター爆弾禁止条約の締約国です。

★「名誉リスト」

昨年より2機関増え、合計23の機関が「名誉リスト」に掲載されていますが、日本の金融機関でリスト入りした機関はありません。

★「次点リスト」

全世界で24の機関が「次点リスト」に掲載されていますが、日本で該当する金融機関はありません。

*      *      *      *      *

JCBLは、昨年8月1日にクラスター爆弾禁止条約が発効した直前に3大メガバンクがクラスター爆弾製造を目的とした資金調達への投融資を内規で禁じたこと、そして10月には全国銀行協会がクラスター弾の製造を資金使途とする与信を行わないと明言したことを歓迎します。しかし、本報告書の「次点リスト」「名誉リスト」に記載された日本の金融機関がないことからも明らかなように、日本の金融機関にはさらなる取り組みが求められています。

JCBLでは、①クラスター爆弾を製造する企業自体への投融資を禁止すること、②あらゆる金融業務においてクラスター爆弾製造企業との関係を断つこと、③クラスター爆弾製造企業との取引に関する情報公開及び説明責任を果たすこと、を今後も求めていきます。







[i]クラスター爆弾の製造企業は8社で、前回の報告書から2社(トルコのRoketsanと米国のL-3 Communications)減り、新たに2社(中国のNorincoとロシアのSPLAV)追加されている。




[ii]『クラスター爆弾への世界の投資:共通した責任』は2009年10月に発表されて以降、2010年4月に改正版が発表され、今回は最新情報が掲載されている。




[iii]2009年、2010年に発行された報告書内でクラスター爆弾製造企業への投融資が指摘されていた三井住友銀行の方針転換については、三井住友フィナンシャルグループの英語版CSRレポート内で一括して報告されている。



プレスリリースのPDFはこちら

報告書のダウンロードはこちら(英文のみ)。