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日本政策投資銀行の環境・CSR部長の竹ケ原啓介さんが、産業調査部長に転進。20年のESG経験に基づく総合的な産業調査を期待(RIEF)

2016-07-04 18:12:24

takegaharaキャプチャ

 

 日本政策投資銀行のCSR分野を引っ張ってきた環境・CSR部長の竹ケ原啓介さんが、産業調査部長に転進した。環境・CSR部長として5年強、環境・CSR分野に携わって20年という経験を生かし、今度はメインストリームのわが国産業分野において、ESG要素の統合化の分析・評価に取り組む。

 

 竹ケ原さんは、1989年4月に旧日本開発銀行(現日本政策投資銀行)に入行、1990年代後半にドイツ駐在となった際、ドイツの環境ビジネスの手応えを見聞きし、ESGの世界に入り込んだという。当時のドイツでは、「拡大生産者責任スキームの下でのリサイクル産業の興隆や、環境に配慮した都市計画、リスクベースドな土壌汚染対策など非常に新鮮だったのを覚えている」と語っている。

 

 ドイツには、90年代後半と、2005年から08 年までの二回にわたって赴任した。手堅いドイツ流の環境・CSRへの取り組みを間近に見る一方で、日本でのESG活動の支援に自らもコミットしてきただけに、「企業活動のグローバル化と、ESG投資が欧米でメインストリーム化したこともあり、日本企業のCSrは大企業を中心に欧米企業と遜色のないレベルになりつつある」と振り返る。

 

 欧米に比べての課題は、「ESGレーティングや情報プロバイダー部門での日本企業の相対的な弱さ」とみる。政投銀は、環境評価格付け融資を自ら開発、展開してきたが、多くの金融機関や企業は、欧米の評価や情報分析に頼る体制が依然、続いており、これらの面のレベルアップが必要、とみている。そうした分野への政投銀による後押しは、後任の環境・CSR部長の田原正人さんが引き継ぐ。

 

 環境金融分野では、政投銀はグリーンボンド発行で国内金融界をリードしている。竹ケ原さんは「固定価格買い取り制度(FIT)縮小で再エネ事業は縮小傾向だが、パリ協定によって炭素制約がコストになってくるので、業務部門の省エネや水素関連など環境ビジネス向けの投融資は拡大基調が続くのではないか」と期待を込めている。

 

 週末は自宅でバラの栽培など、ガーデニングに凝っている。ところが最近は「異変」に気付いたという。テキストに沿ったバラ栽培を手掛けても、今ひとつ、うまくいかない。「やはり、気温上昇による影響ではないか。身近なところでも温暖化への適応策の重要性を味わう思いです」。

 

 産業調査部には、15年前にも在籍経験がある。目下の産業界の課題は、IpT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などのような産業横断的な取り組みの巧拙にある。環境・CSRも同様に産業横断的なテーマだけに、竹ケ原さんの「総合力」に期待したい。