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広島銀行、みずほ銀行らとともに、広島県域の尾道市など6自治体での県民の大腸がん検診受信率向上を「成果」として、ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)発行へ(RIEF)

2018-12-03 14:47:33

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  広島銀行は、みずほ銀行、一般社団法人「社会的投資推進財団(SIIF)」等とともに、広島県域の尾道市など6自治体と連携し、⼤腸がん検診の受診を勧奨することを目的とした「ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)」を組成した。ガンの早期発見による健康寿命の延伸と生活の質(QOL)向上を成果として、自治体がボンドの投資家に配分する原資を供給する仕組み。SIBへの投資は、クラウドファンディングのミュージックセキュリティーズが個人投資家から募集する。

 

  SIIFは昨年、神戸市と八王子市とそれぞれ連携してSIB事業を立ち上げている。広域の自治体を対象としたSIBとしては今回が初めて。事業規模は2229万4000円。2020年9月までの期間を対象とする。対象自治体は、尾道市のほか、庄原市、竹原市、福山市、府中市、三次市の各市。検診受信率向上の事業は、キャンサースキャン社(東京)が請け負う。

 

 先行する神戸市の事業は、市民のQOL(生活の質)向上と、医療費の適正化を成果とし、八王子市の場合は今回の広島のケースと同様、市民の大腸がん検診受信率の向上を目指している。今年10月の評価では、いずれも目標を上回る成果があったとして、八王子の場合は当初想定通りの244万1000円を投資事業者に支払った。神戸市の最終評価は、2020年3月の予定。http://rief-jp.org/ct4/84086

 

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 神戸市、八王子市の両事業とも、今回と同じく、キャンサースキャン社が検診受信率の低い市民層を対象に、AIを使ったオーダーメードの受信勧奨プログラムを実施した。広島県とキャンサースキャン社は成果連動型支払い契約を結び、各自治体は成果支払い資金を予算計上している。

 

 民間資金の出し手としては、SIIFと広島銀、みずほ銀、それにミュージックセキュリティーズがそれぞれ供給する。クラウドファンディングを組み合わせることで、各自治体出身で遠隔地にいる人も、投資家として参加できる「ふるさと納税」的な広がりを期待できる。中間支援組織としてケイスリー社が参加する。

 

 今回の広域型SIBの特徴は、小規模な自治体でも周辺の自治体と連携することによって、社会的課題の効率的な解決が見込めるSIB制度を導入できる点だ。

 

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 2010年に英国で始まった官民連携のプロジェクトファイナンス手法と位置付けられている。SIBは世界的に展開されており、2017年の調査では、世界全体で1140億㌦(約12兆7000億円)が運用されているという。今後、2020年には3070億㌦(約34兆4000億円)に拡大すると期待されている。


 ⽇本国内でも、経済産業省や厚⽣労働省等による案件組成の⽀援が⾏われている。今年6 ⽉15 ⽇に閣議決定された「未来投資戦略2018」でも、SIB を含む成果連動型の⺠間委託を国として推進していく旨が明記されている。対象となる「成果」は医療分野だけでなく、介護や就労、教育分野、犯罪防止の再犯率引き下げプログラムなど、さまざまな社会的課題の解決のために応用されている。

http://www.hirogin.co.jp/ir/news/paper/news181130.pdf